交通事故におけるドライブレコーダーの活用


先日、覚せい剤取締法違反の容疑で歌手のASKA容疑者が逮捕されました。

マスコミが現在この事件の報道に多くの時間を割いていますが、逮捕されて数日後からある映像が流れ始めました。

それは、逮捕直前のASKA容疑者を乗せたタクシーのドライブレコーダーの動画です。この動画は、運転手とのやりとりや後部座席にいるASKA容疑者の様子を克明に映し出しています。

 

テレビでこの動画が使用されて以降、ドライブレコーダの動画を提供したタクシー会社は強く非難されています。いくら有名人の刑事事件とはいえ、逮捕される以前のタクシー内の様子をみだりに公表されることはプライバシーの侵害に当たる可能性が高く、ドライブレコーダーの本来の使用目的を逸脱しているといえます。

 

事態を重く見た国土交通省は、タクシーやバスの業界団体に対して、ドライブレコーダの映像の適切な管理の徹底を促す文書を送付しています。

 

ところで、ドライブレコーダーは、ここ数年で急速に普及し、価格もリーズナブルなものが増えてきており、交通事故の状況把握という本来の使用目的において重要な証拠の一つになっています。

 

この点、裁判所も毎年発行される交通事故書籍の中(通称赤い本)で、裁判でのドライブレコーダーの運用状況について報告するなど、高い関心を寄せています。

 

ドライブレコーダーの証拠提出方法としては、記録媒体をDVDに焼いて提出する方法やレコーダーの映像を流して、それを撮影したものをDVD化する方法があります。

また、映像の中でキーとなる画像を写真に落とし込み、それを報告書の形で動画とともに提出する方法も有用であると報告されています。

 

ドライブレコーダーが重要な役割を果たす場面としては、交通事故の当事者が事故態様について争っている場合です。具体的には、信号機の色やウインカーを上げたか上げていなかったか、あるいは合図のタイミング、一旦停止をしたかしていないかなどです。

 

ただし、交通事故を専門的に取り扱っている部の裁判官は、映像というものの性質上、感覚的な事実認定に陥る危険性も認識した上で審理をすべきであると主張しています。

その意味では、ただ単にドライブレコーダーの映像を証拠として出せばいいということではなく、自分の事故に対する認識や主張を裏付けるために、どのように映像が影響するかをよく考えた上で、利用する必要性があるといえます。

 

事故態様の争いは過失相殺の場面で多くあります。過失相殺について、詳しくはこちらのQ&Aをご覧ください。