よくある相談Q&A

長年愛用の車が全損し、同乗の犬が死亡。車とペットの慰謝料は認められませんか?


泣く女性のイメージイラスト長年愛用していた車に衝突され、車両が全損し、同乗していたペットの犬が死にました。

車の損害とペットについて慰謝料は認められませんか?

 

 

弁護士西村裕一イラスト物損事故では、慰謝料は認められません。車両については時価額の賠償となります。残念ながら慰謝料請求は無理でしょう。

他方、ペットに対しては、例外的に慰謝料が認められた裁判例があります。ただし、この場合の慰謝料は高額なものではありません。

 

 

慰謝料の根拠

お金のイメージ画像民法710条は、「他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれかであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない」と規定されています。

この条文からすれば、慰謝料は、人身事故でも物損事故でも請求できそうです。しかし、実務上は交通事故で財物が破損した場合、破損した財物の価格が賠償されることで損害が回復されるので、財物を壊された被害者の精神的な苦痛も癒されるため、慰謝料は発生しないとされています。

 

 

物損事故での慰謝料請求があった裁判例

物損事故での慰謝料請求があった裁判例を紹介します。

自動車

否定

修理、改造をした自動車が追突事故に遭って損傷した事案です。車両が「事故車」とされる精神的苦痛としての慰謝料請求がされましたが、判決は、「事故車」として評価される分まで車両の賠償をされているとして慰謝料を認めませんでした。(東京地八王子支部H14.3.28)。

 

動物

ペット(飼い犬)の死傷の場合

肯定

パピヨン犬が死亡し、シーズー犬が骨折を受傷した事案において、飼い主に10万円の慰謝料を認めました(大阪地判H18.3.22)。

飼い犬に後遺症が残存した場合

肯定

ラブラドール犬が麻痺により排泄できなくなり、飼い主が圧迫排泄をする必要が生じた事案について、被害者に2名にそれぞれ20万円の慰謝料を認めました(名古屋高判H20.9.30)。

競走馬

否定

競走馬が交通事故で死亡した事案において、競走馬は売却される予定のある商品という理由から慰謝料を否定しました(札幌高判S56.4.27)。

 

その他

墓石

肯定

霊園内で墓石に衝突し、骨壺が露出した事案においては、先祖、故人が眠る場所として強い敬愛追慕の念の対象となるという特殊性から慰謝料10万円を認めました(大阪地判H12.10.12)。

芸術品(美術品)

肯定

陶芸家の自宅のコンクリート壁に自動車が衝突し、壁が倒れ、陶芸家の作品が破損した事案において、壊れた作品は陶芸家として認められた作品で被害者にとっての特別な主観的・精神的価値があり、作品の具体的な金額を認定できないとして慰謝料100万円の慰謝料を認めました。(東京地判H15.7.28)

住宅損傷

肯定

午前3時にトラックが民家へ飛び込んだ事案において、慰謝料額は50万円を認容しました(岡山地判H8.9.19)。

 

解説する男性のイメージイラストこのように、基本的には物損の慰謝料は認められず、個人的な思い入れが強いという理由では慰謝料の請求は難しいでしょう。

 

 

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