「症状固定」と言われた

症状固定とは

骨症状固定とは、医学上一般に認められた治療を行ってもその治療効果が期待できなくなった状態をいいます。

簡単に言えば、痛みや体の動かしづらさはあるものの、これ以上、現代医学では改善することができない状態のことです。

症状固定とは、傷病の症状が安定し、医学上一般に認められた治療を行っても、その効果が期待できなくなった状態、つまり、その傷病の症状の回復・改善が期待できなくなった状態のことをいいます。

この症状固定は、損害額を確定するという点で、損害賠償請求上、重要な意味を持ちます。

すなわち、これ以上治療を継続しても、回復・改善が期待できないのであれば、治療の意味がないので、治療行為は終了させるべきです。これにより、被害者の治療費等が確定します。

したがって、症状固定以降の治療は、治療をしても効果がない治療ということになりますので、症状固定後の治療費は相手方に請求することができなくなり、残った症状については、後遺障害の問題として対応することになります。

治療のイメージ画像そして、残存した症状(例えば、体の痛みなど)については、後遺障害として損害賠償の対象とすることで、被害者の交通事故による損害を確定し、賠償を受けることで早期に被害者救済を図るべきです。

また、症状固定によって、治療費だけではなく、症状固定前に発生していたその他の積極損害(付添看護費、交通費等)や、休業損害、入通院慰謝料も確定し、症状固定日以降のものは請求できなくなります。そして、症状固定後は、後遺障害の等級認定を受ければ「後遺障害部分」として、逸失利益、後遺障害慰謝料を請求できます。

ケース 慰謝料金額
一家の支柱の場合 2,700~3,100万円
一家の支柱に準ずる場合 2,400~2,700万円
その他の場合 2,000~2,400万円

 

「症状固定」の決定方法

上記のように、症状固定は損害賠償請求上重要な意味を持ちます。

賠償金を支払う保険会社からすれば、少しでも賠償金を減らすために、症状固定を早めたいと思うはずです。

すなわち、症状が固定すれば、それ以降の治療費や休業損害を支払う必要がないからです。また、入通院慰謝料は、基本的には入通院の期間が長くなればなるほど額が高額化します。

したがって、保険会社の担当者は、症状固定を急ぎたがるのです。

では、この症状固定はどのようにして決まるのでしょうか?

医者のイメージ画像症状固定は、これ以上治療行為を継続する意味があるか否かという、医学的は判断を行うものであり、高度な医学的知識が必要です。したがって、実際に被害者の方を診察してきた主治医が判断します。

具体的には、後遺障害が残った場合、主治医に後遺障害診断書を書いてもらって後遺障害の等級認定を受けます。その後遺障害診断書に「症状固定日」という欄があり、これに主治医が記載した年月日が症状固定日となります。

 

 

症状固定と言われた場合の対応について

保険会社から症状固定と言われたら

弁護士上記したように、症状固定は医学的な判断になります。

したがって、保険会社から「症状固定だから治療は終了です。」といわれても、鵜呑みにしてはいけません。

このように言われたら、「主治医の先生に相談します。」と回答して、主治医の先生に症状固定に関する見解を確認すべきです。

痛む女性実際に、当事務所の弁護士が経験したケースでは、医師に症状固定の時期について確認を取っていないにもかかわらず、「交通事故から3か月経ったので症状固定です。」と保険会社に言われたということもあります。

そして、主治医の先生に適切な見解を述べてもらえるように、通院中から定期的に診察を受けて、主治医の先生とコミュニケーションを取っておくことが大切です。

投薬を受けるためには、医師の問診が必要とされていますので、その際に医師に現状を報告しておくことも大切です。

主治医に症状固定と言われたら

後遺障害申請書主治医の先生に症状固定と言われた場合には、何か余程の事情がない限りは、その時点で治療費は打ち切られることになります。

症状固定後は、後遺障害等級の申請をするか、あるいは、示談交渉に入ることになります。

ただし、主治医から症状固定と言われたとしても、治療を止めなければならないというわけではありません。

治療費の補償を交通事故の加害者に請求することは困難ですが、被害者の方の自費で治療を継続することは可能です。

 

 

症状固定のポイント

保険会社の言いなりにならないこと

上記のとおり、保険会社は自社の利益のために、症状固定を急ぎたいと考えています。

そのため、治療が長期化していると、保険会社の担当者が電話をかけてきて「そろそろ症状固定してください。」と言って後遺障害診断書が送ってくることがあります。また、これに応じないと、「治療費を打ち切りますよ。」と言ってくることもあります。

解説する医師のイメージイラストしかし、症状固定か否かを判断できるのはあくまで主治医です。本来であれば、治療すれば改善できたのに、保険会社の言いなりになってしまったがために、十分な治療費や入通院慰謝料をもらえなくなる等、適切な賠償を受けられなくなる可能性があります。

このようなことにならないためにも、まずは交通事故専門の弁護士にご相談されるのをお勧めします。

 

 

主治医とは十分コミュニケーションをとること

解説する医師のイメージイラスト上記のとおり、症状固定を判断するのは主治医です。

したがって、日頃から受診の際は、自分の症状について、くわしく伝えるようにすることが大切です。

また、事前に症状に関するメモを作成し、診察の際主治医に渡すことも効果的です。医師は皆多忙なので、一人一人の患者の詳細な状況まで十分把握できないこともあるからです。メモを作成する場合のポイントは、できるだけ具体的に記載するということです。例えば、体の痛みであれば、痛みが出る部位、時間帯、痛みの程度、痛みによる影響(どういう動作ができなくなったかなど。)等を記載するようにしましょう。

医者と看護師のイメージ画像このように、自分の症状を具体的に伝えておくことは、後遺障害の等級認定にとっても重要です。

症状固定後、後遺障害が残っている場合は後遺障害診断書を主治医に記載してもらって、後遺障害の等級認定を受けますが、その際、主治医がよくあなたの症状を把握していないと、後遺障害診断書に必要な記載がなされず、場合によっては後遺障害が認められないこと(等級「非該当」)があります。

その結果、適切な賠償が得られなくなるので、注意しましょう。