13歳の無免許運転事故ー賠償問題を弁護士が解説


こんにちは。

 

北九州は昨日台風7号が接近していたこともあり、雨風ともに非常に強く、避難準備情報も出されました。私のスマートフォンも朝から警報音が鳴りました。一人でいたのでとてもびっくりしました。

 

 

さて、7月に入って、非常に残念なニュースが入ってきました。岡山市で13歳の中学2年生が5人で乗っていた自動車が中央分離帯に乗り上げて大破し、1人の方が死亡したということです。他の同乗者も骨折などの重傷者が3名、軽傷1名とのことです。

 

報道によれば、交通事故が発生したのは午前4時55分だったとのことですので、深夜友達同士で集まって、誰かの両親の車を使用してドライブでもしていたのでしょうか?

 

いずれにしても全員が13歳ですので、誰一人として免許を持っていない状態で交通事故を起こしたことは明らかです。

 

今回の交通事故では、尊い命を失ってしまった方もいらっしゃいます。

 

そこで、今回の事故に対する賠償問題について、交通事故を専門とする弁護士の立場から少し検討してみたいと思います。

 

まず、問題となるのは、「誰が運転をしていたのか?」ということです。仮に、亡くなった生徒が運転をしていて自らのハンドル操作の誤りで交通事故を起こしていた場合、自らの過失で損害を被っている以上、損害賠償請求をする相手が自分ということになり、賠償を求めることはできません。

 

この点については、ドライブレコーダーなどがなければ確定するのが難しい可能性があります。なぜなら、無免許運転をして事故を起こしたということになれば、その生徒は14歳未満で刑事処分は受けないとはいえ、家庭裁判所の審判により、少年院送致もありうるからです。したがって、自分の不利益を免れようと、5人の中で利害関係が非常に複雑になってしまい、本当の運転者を隠そうとしたり、誰かを陥れたりということが起こりかねません。

 

次に、仮に死亡した生徒は運転しておらず、乗っていただけだったとした場合に、賠償問題がどうなるかについて検討をします。

 

事故を起こした自動車にはおそらく生徒のご両親が自賠責保険と任意保険に加入していたでしょうから、それぞれの保険が適用され、賠償を得られるかどうかが問題となります。

 

まず、自賠責保険についてですが、盗難被害にあっているわけではなく、同居していた子どもが車の鍵を持ち出して、自動車を走らせて交通事故を起こしているということになるため、自賠責保険の名義人である生徒のご両親が自動車の運行の用に供していたと評価でき、自賠責保険は適用されることになるでしょう。

 

したがって、死亡した生徒のご両親が被害者請求をすれば、自賠責保険金を得ることができる可能性があります。

 

次に、任意保険についてですが、こちらは加入していた自動車保険の内容次第で補償の対象となるかどうかが変わってきます。具体的には、年齢制限と運転者限定の条件をつけていたかどうかです。

 

年齢制限には21歳以上や26歳以上といったように、運転者の年齢を一定年齢以上にして契約する保険です。この年齢制限をかけていれば、13歳は当然制限がかかりますので、任意保険は免責となり、任意保険による補償はありません。

 

同じく、運転者を被保険者とその配偶者に限定するといった運転者限定をつけていれば、13歳の子は限定の範囲外の運転に当たるため、同じく任意保険は免責となり、任意保険による補償はありません。

 

また、仮に任意保険に上記の限定をつけておらず、適用になる場合でも、過失相殺が問題となる可能性が高いでしょう。

 

具体的には、無免許運転であるということがわかった上で乗っている以上、交通事故の危険を自らも引き受けていたと評価できるというもので、「好意同乗」といいます。

 

法律的に違反をしない運転態様での交通事故の場合では、好意同乗を理由に過失相殺されることは通常ありませんが、飲酒運転や今回の無免許運転の場合には、過失をかなり取られてしまうリスクがあります。

 

いずれにしても、このような交通事故が二度と起きないことを交通事故に携わる弁護士としては心から願っています。