弁護士コラム

田川の祭りでの暴走事故~加害者の責任は?

b7d264566ca94875b558c508f2e0b9ae_s
今年の5月18日、田川市の祭り会場で無人の軽ワゴン車が暴走し、11人の重軽傷者が出た事故に関して、車を所有していた男性が先日逮捕されました。事故の加害者が負うべき責任はご承知のとおり、民事上の責任、刑事上の責任、行政上の責任の大きく3つにわかれます。
まず先に行政上の責任の説明を簡単にします。自動車を運転するには当たり前ですが、免許が必要です。この免許制度において、事故や違反をすることで違反点数が加算されていき、一定の基準に達すると、免許の停止や取消処分を受けることになります。これが行政上の責任です。

 

民事上の責任とは、今回の事故でけがを負った被害者に対する損害賠償責任です。けがの治療費はもちろんのこと、交通費、けがの慰謝料(傷害慰謝料)、けがのために勤務先を休み、その分の収入が減少した場合の休業損害などが賠償の対象となります。また、報道によると被害者の中には4歳のお子さんもいたとのことですので、両親の病院への付添費用も認められるでしょう。

 

今回の事故は、加害者が車に乗らず、外からハザードを点灯しようとしてミッション車のエンジンを入れて暴走したというもので、ブレーキなどを踏んでいないと思われます。そうだとすれば、骨折等の重傷により後遺障害が残ることも十分にありえます。その場合には、上記の損害に加え、後遺障害に対する慰謝料、逸失利益も発生します。逸失利益とは、後遺障害を負ったことによる将来の労働能力の喪失に対する損害です。後遺症逸失利益については、こちらをご覧ください。
刑事上の責任というのが、今回の逮捕に関することです。逮捕容疑は、重過失傷害(刑法第211条第1項後段)となっています。自動車を運転中に事故を起こし、人を死傷させた場合には、平成26年5月20日以降、新しく施行された自動車運転死傷行為処罰法(正式名称は自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律。)の過失運転致傷罪の適用となります(なお、今回の事故はこの法律の施行前ですので、刑法にそれまで定められていた自動車運転過失致傷罪が適応対象です)。

 

もっとも、今回の事故は、自動車を運転していたわけではなく、ギアの入った状態で車の外側からエンジンをかけて生じたという点で特殊性があり、重過失傷害罪での逮捕になったものと思われます。

いずれにしても、最近は危険ドラッグ(脱法ハーブ)を吸引した状態で運転したことによる暴走事故など、被害者が複数かつ重大な事故が多発しています。こうした悪質な事故が少しでもなくなることを願うばかりです。

 

 

 

コラム一覧


なぜ交通事故は弁護士に依頼すべきなのか?

お問い合わせ Web予約