弁護士コラム

脊柱の変形障害の後遺障害逸失利益-喪失率の争い

交差点のイメージ画像腰椎については、交通事故により椎体が押しつぶされるような形で骨折するケースが多くあります。こうした骨折を圧迫骨折といいます。

 

圧迫骨折により椎体の高さが変わるなどして、変形を生じることがあります。交通事故における後遺障害ではこうした変形障害について、認定等級が3段階用意されています(腰椎骨折をはじめとする脊椎骨骨折について詳しくはこちらをご覧ください。)。

 

圧迫骨折による変形障害で後遺障害が認定された場合に、大きな問題となるのが逸失利益です。すなわち、変形障害のみであれば、仕事や日常生活にそれほど影響を与えることはなく、認定された等級に対応する労働能力喪失率が認められないのではないかという主張が保険会社から強くなされます。

 

この点に関して争われた事案の一つとして、名古屋地判平成28年3月18日があります。

 

バイク事故のイメージイラストこの事案では、交通事故当時18歳の男性がバイクで転倒した際に、第7、第8胸椎を破裂骨折するという重傷を負い、「せき柱に中程度の変形を残すもの」として8級に該当すると自賠責保険で認定されており、8級相当の45%の喪失率が認められるかについて判断しています。

 

名古屋地裁は、被害者が事故後に1時間30分ないし2時間程度をかけて公共交通機関を利用して大学に通っていることや変形障害により将来の職業選択について、変更を余儀なくされたという具体的な事情がないことから、「現時点においては、脊柱の変形そのものによる労働能力の低下が顕在化しているということはなく、労働能力に影響し得るのは専ら変形した胸椎周辺の疼痛、すなわち局部の神経症状ということになる。」と認定し、8級相当の喪失率である45%の主張を斥けています。

 

他方で、「体幹の中心を支える脊柱が恒久的に変形してしまったことにより、今後、加齢により新たに痛みが生じたり、変形の度合が強まったりするおそれは多分にあり、被告ら主張のように第12級の後遺障害に準じた(14%をいうものと解される。)をすれば足りるともいい難い。」として、疼痛の12級相当とも評価できないとしています。

 

救急車のイメージ画像最終的には、12級13号の等級を1つ繰り上げた11級の喪失率である20%を採用し、67歳までを喪失期間として逸失利益を認定しています。この認定は、裁判官の感覚的な評価だといえます。

 

いずれにしても、変形障害のみでは、後遺障害の逸失利益がそもそも認められないというケースもあるため、交通事故の中でも専門的な知識が不可欠な分野です。

 

圧迫骨折についての当事務所の解決事例はこちらをご覧ください。

 

 


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