弁護士コラム

可動域検査の重要性

上肢のイメージ画像上肢(肩、肘、手)や下肢(股関節、膝、足)の後遺障害の一つである機能障害においては、可動域検査が非常に重要なものとなります。

 

なぜなら、自賠責保険の後遺障害の認定基準が健側(正常な側)の可動域と比べて、どの程度制限があるかで判断しているからです。具体的には、12級であれば4分の1以上、10級であれば2分の1以上の制限という要件があります。

 

こうした可動域検査が問題になった裁判例が大阪地判平成28年2月26日です。この事案では弁護士に依頼した直後に可動域検査を再度行っており、その評価が争点となっています。

 

事案の概要ですが、歩行中に交通事故に遭われた原告(被害者)は、脛骨、腓骨の両骨の遠位端(心臓より遠いところ)を骨折し、手術を行った上でリハビリ治療を行いました。しかし、右足関節面に不整が残るなどしたことから、右足関節の可動域制限と疼痛が残存してしまった状態で症状固定に至っています。

 

病院で測定をするイメージイラストそして、症状固定時に医師が測定器具を使用して可動域検査を行い、診断書を作成しました。その後、被害者は、測定した10日後に弁護士による交通事故の相談を受け、法律相談の3日後に再度可動域検査を行いました。この再検査で足の底屈の可動域を当初の30度から20度に修正しています。

 

自賠責保険は、修正された可動域を前提に、骨折した右足の可動域が左側に比べて2分の1以下に制限されているとして、10級11号の認定をしました。

 

ところが、裁判所は自賠責保険が認定した10級11号の認定を否定し、12級7号の認定にとどまると判断しています。

 

裁判所のイメージ画像その理由として、裁判所は、後遺障害診断書に記載された症状固定時の可動域がリハビリ途中の可動域よりも大幅に悪化していることを挙げています。そして、先ほど説明した弁護士に相談した3日後に再検査を行い、10度悪化した数字に修正している点も挙げ、数字の信用性が認められないとしています。

 

このように、可動域検査の測定値がリハビリ経過のものと後遺障害診断書のものが大きく違っている場合、後遺障害診断書の信用性が失われてしまう可能性が出てきます。したがって、日頃のリハビリの段階から適切に測定してもらい、その数値をカルテやリハビリ計画書に残してもらうことが必要です。

 

機能障害について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 


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