弁護士コラム

高次脳機能障害の等級認定の難しさ

脳の障害のイメージイラスト交通事故にあって、くも膜下出血や硬膜下血腫、びまん性軸索損傷などをはじめとする頭部外傷を負ってしまった場合、被害者は意識障害を生じる可能性があります。

 

交通事故直後から意識障害が一定期間続いた場合、後遺症として、損傷を受けた脳の部位に対応して、認知機能の低下や言語機能の低下、あるいは易怒性(怒りやすくなる)などの人格の変化が生じることがあります。こうした症状を高次脳機能障害といいます。

 

自賠責保険の後遺障害の認定では、この高次脳機能障害については専門部といって通常の後遺障害の認定部門とは異なる部署が担当しています。

 

そして、後遺障害について、基本的には自賠責保険の認定を尊重するというのが裁判所の傾向なのですが、高次脳機能障害に関しては、自賠責保険と裁判所の等級判断が異なることが他の傷病に比べて、多くあるというのが現状です。したがって、高次脳機能障害の等級認定は非常に予測が難しいです。

 

この点、大阪地判平成28年1月29日の事件も自賠責保険の認定した等級と裁判所の認定した等級が異なった事案です。

 

この事案では、自賠責保険は5級の認定を出していたのですが、裁判では、2段階下の等級である9級(高次脳機能障害は5級の次が7級、その次が9級となっています。)を認定しました。

 

裁判所は、被害者の親族が作成した日常生活状況報告書の内容と主治医の医療照会への回答が整合していないことや被害者が自ら車を運転して、交通事故を起こしたり、違反をすることなく、県外まで助手席に誰も乗せずに一人で行き来できている事実を認定して、それほど重篤な症状が残っていないと結論づけました。

 

日常生活状況報告書とは、いくつかの質問に対して、問題がないという「0」点から、すべて周りの人が対応しなければならないという「4」点までの点数をつけていく書類なのですが、この書類のほとんどの質問項目に被害者の親族は最も重度の「4」点をつけていました。ところが、治療経過を確認するために保険会社が主治医に対して照会した回答書の中では、それほど大きな問題があるとの指摘がなされていなかったのです。

 

監視カメラのイメージ画像また、この裁判では、被害者の一日の行動経過が判決文の中で事実認定されています。証拠が確認できないため、推測にはなりますが、おそらく、相手方の保険会社は被害者の行動調査を行っており、それをDVDなどの映像や写真撮影報告書の形で証拠提出したものと思われます。

 

この事案は、最終的に、被害者の損害額がこれまで支払われている金額を超えることはないとしてすべての請求が棄却されています。

 

このように、高次脳機能障害は非常に難しい案件の一つで、被害者の方への影響も大きいものになります。したがって、専門家である弁護士に依頼する必要性が高いといえます。

 

高次脳機能障害については、こちらもご覧ください。

 

 


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