弁護士コラム

交通事故での整骨院の治療(施術費)をめぐる問題について、弁護士が解説!

整骨院での施術費用は治療費に含まれる?

弁護士西村裕一イラスト交通事故にあって、むちうち症状になった場合、整形外科での治療とあわせて整骨院での治療(施術)を選択する方も多くいらっしゃいます。

整骨院を希望される理由としては、主に以下のようなものが挙げられます。

◎ 仕事や家事で病院の空いている時間には通院できないため、遅くまでやっている整骨院で治療したい

◎ 病院での待ち時間が長いため、仕事や家事に支障が出て、通院できない

◎ 病院での治療に比べ、整骨院の治療の方が時間をかけて丁寧にやってもらえる(そのような印象がある)

この整骨院の治療費(施術費)をめぐっては、医師以外の者の治療が損害賠償の対象となるのかという形で問題提起がなされています。

裁判所のイメージ画像この問題について、弁護士が交通事故問題を取り扱う上で常に参照している「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」(通称、「赤い本」)の2018年度版で、裁判所の講演録が記載されています。

この講演録の中で、整骨院の施術費の賠償範囲についての出発点は、「その施術が、症状が固定するまでに行われた必要かつ相当な施術の費用でなければな」らず、「必要かつ相当な施術の費用といえるためには、医学的見地からみて必要性及び相当性が認められる施術であり、かつ、その報酬額も社会一般の水準と比較して妥当なものでなければな」らないとされています。

この点は、整形外科の治療費の場合と基本的には同じです。

その上で、「必要かつ相当な施術」といえるのはどのような場合かということが、具体的なケースを通じて裁判で争われていることになります。

 

裁判所の判断基準は?

裁判所としては、以下の5つのポイントを考慮要素としているとされています。

・施術の必要性

施術を行うことが必要な身体状態にあったかどうか

・施術の有効性

施術を行った結果として具体的な症状の緩和がみられるかどうか

・施術内容の合理性

施術が受傷内容と症状に照らし、過剰・濃厚に行われておらず、症状と一致した部位につき、適正な内容として行われているかどうか

・施術期間の合理性

受傷の内容、治療経過、疼痛の内容、施術の内容及びその効果の程度等から、施術を継続する期間が相当であるかどうか

・施費の相当性

施術費用が社会一般の水準と比較して妥当かどうか

裁判のイメージイラストなお、この講演録では、「事故直後から頻回に、場合によってはほぼ連日整骨院に通院し、施術内容も通院頻度もあまり変わらないにもかかわらず、6か月を経過したとたんに整骨院の治療をやめ、きっかり6か月分で、かつ、整形外科における治療費の何倍にも上るような高額な施術費を請求するといった事案が散見される」と裁判官が言及しています。

インターネットなどの情報をもとに、賠償金のために整骨院へとにかく毎日でも通えるだけ通い続けるというような、いわゆる金太郎飴のような事案は、裁判所からも問題視されており、施術費を結局は否定されてしまうことになるということをしっかりと頭に入れておかなければなりません。

あくまで、交通事故の程度、それによって受けた被害者の方の症状にあった施術でなければなりません。

整骨院で施術を行う柔道整復師は、柔道整復師法17条で「医師の同意を得た場合のほか、脱臼又は骨折の患部に施術をしてはならない。ただし,応急手当をする場合は,この限りでない。」と定めています。

針治療のイラストしたがって、交通事故の被害者のけがが脱臼、骨折の場合については、予め医師から包括的な同意を得ておくことは許されず、あくまで患者を診察した上で与えられることが必要と裁判所は考えています。

こうした医師の同意がない場合には、施術の必要性と有効性がないことを強くうかがわせる事情と考えられており、例外である応急手当も極めて限定的に解釈されるため、脱臼や骨折の事案については、整骨院のみで治療することは控えなければなりません。

 

 

むちうちの事案の場合

脱臼や骨折のない、いわゆるむちうちの事案についても、整骨院の施術費の全額ではなく、一部が認められるといった裁判例が多くあります。

交通事故のイメージ画像

東京地判平成28年6月3日は、車線変更による交通事故で、被害者が頚椎捻挫、腰椎捻挫のけがを負って、後遺障害14級9号が認められた事案です。

この被害者は、交通事故から10日後に整骨院での治療を開始し、166日間の間に138日の通院(施術費65万7770円)を損害として加害者に請求していました。

この事案で裁判所は、整形外科医から事前に同意を得るなどして整骨院に通院したことから施術については、一応必要性があるとしつつ、166日中138日という通院頻度はあまりに多すぎるとして、施術費の70%のみ損害賠償を認めました。

 

 

お悩みの方は弁護士にご相談ください

このように、整骨院の施術については、先ほど説明した5つの要件を事案ごとに検討した上で、慎重に判断する必要があります。

交通事故にあった場合には、トラブルになる前に、早めに弁護士に相談しておくべきでしょう。

人身傷害チーム画像デイライト法律事務所では、定期的に整骨院の先生方に対して勉強会を開催するなどして、整骨院の先生方と意見交換もしながら実務を把握して、交通事故問題に対応しております。

交通事故でお困りの方は、まずはお気軽に弁護士にご相談ください。

 

 

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