弁護士コラム

F1日本グランプリでのビアンキの事故

びまん性軸索損傷とは?

先日鈴鹿サーキットで行われたF1日本グランプリで事故が起こりました。

台風18号の影響で大雨の中行われたレースで大クラッシュに見舞われたビアンキ選手は、すぐに救急病院に搬送されたものの、事故から2日たった現在も重篤な状態で、集中治療室にいると発表されています。それとあわせてビアンキ選手が「びまん性軸索損傷」と診断されていることも明らかにされました。

びまん性軸索損傷とは、交通事故などで強い力が外から頭部に加わった場合に、脳に回転力が生じ、ねじれてしまうことで生じる症状です。脳の深部は表面の部分より遅れて回転力が伝わるために脳がねじれてしまうのです。脳がねじれてしまうと、軸索という神経細胞が引っ張られ、広い範囲にわたって断裂してしまいます。そのため、意識障害や高次脳機能障害が後遺障害として残ってしまう可能性が固いとされています。

 

このびまん性軸索損傷は、CTでは明らかな血腫や脳挫傷の形跡が認められないという特徴があります。したがって、必ずMRIで頭部の画像を撮影する必要があります。ケースによってはMRIでも判別しづらい場合があり、発見が難しい症状ともいわれています。

 

びまん性軸索損傷には現在、効果的な治療方法は残念ながら確立されていません。安静状態を保ち、脳の二次損傷を防止するという治療になります。予後は、昏睡時間の長さに比例するとされており、長期に及ぶと最悪の場合、亡くなってしまいます。

 

また、先ほど述べたとおり、びまん性軸索損傷は、高次脳機能障害という後遺症を残す可能性が高い症状です。

 

高次脳機能障害とは、認知障害や行動障害、人格変化といった症状が生じ、社会生活を正常に営むことが困難になる状態を指します。その程度は、脳の損傷の範囲によりますが、今回のビアンキ選手の事故は、ヘルメットをしていたとはいえ、F1カーというレース車両での事故ですので、脳への衝撃も大きかったと考えられます。したがって、回復しても高次脳機能障害の後遺症が残る可能性が十分あり、ビアンキ選手が再びF1の舞台に復帰できるかは微妙です。

 

仮に、交通事故により、びまん性軸索損傷の傷害を負った場合には、これまで説明してきたとおり、高次脳機能障害という後遺症が残存する可能性が高いです。この場合、適切な後遺障害等級を獲得するためには、初期の画像所見はもちろん、予後の日常生活の状況を説明する資料を作成する必要がありますので、事故後の早い段階で専門家である弁護士にご相談されるべきです。

 

高次脳機能障害については、こちらをご覧ください

ビアンキ選手の1日も早い回復を祈るばかりです。

 

 

 

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なぜ交通事故は弁護士に依頼すべきなのか?

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