弁護士コラム

スキーバス転落事故~賠償責任者は誰?

事故の内容

今月15日、旅行会社が企画した1泊2日のスキー旅行に向かうバスが長野県軽井沢町のバイパス道路から転落する事故がありました。この事故で乗っていた方の14人がお亡くなりになり、27人の方もけがをしています。バイパス道路という速度を出して走行する道路からの転落事故ということもあり、多くの方の命が失われる非常に大きな事故になってしまいました。

 

 

今回の事故で誰が責任を負う?

IMG_5861

それでは、今回の事故で誰がどのような責任を負うのでしょうか。

遺族や被害者への賠償という民事責任について考えてみたいと思います。

1. ドライバー

159a5316e8b502941cb9de133fde748d_sまずは、事故を起こした際のドライバーです。

 

詳細な事故原因は現時点でまだ不明ですが、報道によれば、道路の路面凍結などはなかったということですので、スピードの出し過ぎや運転手の居眠りといったことが考えられます。

 

なお、今回は運転手もお亡くなりになっています。
この場合には、運転者の遺族の方が賠償義務を相続します。相続はプラスの財産だけでなく、借金や賠償責任といったマイナスの財産も相続することになるからです。

 

ただし、遺族の方が相続放棄をすれば、賠償責任は引き継がないことになりますので、被害者の方々が運転手の遺族に請求することはできなくなります。

 

実際問題としても、運転手や遺族に請求しても賠償能力がないでしょうから、請求できるといっても補償を受けることは困難でしょう。

 

2. バス会社

63e9bef46b1143fbca98f4b930598f66_s次に、運転手を雇用していたバス会社です。

 

運転者を雇って事業を行い、収益をあげているわけですので、従業員が起こした不法行為について企業が責任を負うという使用者責任(民法715条)が根拠になります。

 

また、仮に、この会社がバスを保有していた場合には、自動車損害賠償保障法3条の運行供用者責任を負うことにもなります。

 

このバス会社がきちんと任意保険に加入していれば、今回の事故の遺族や被害者の方は、保険会社より賠償をしてもらうことができます。

3. 旅行会社

6a49958ea42cdd8ee490328ac178bf48_s最後に、今回のスキー旅行を企画した旅行会社が考えられます。

 

過去の裁判例で、旅行会社は、

主催旅行契約の相手方である旅行者に対し、主催旅行契約の付随的義務として、旅行者の生命、身体、財産に関し、あらかじめ十分に調査・検討し、専門業者として合理的な判断をし、また、その契約内容の実施に関し、遭遇する危険を排除すべく合理的な措置をとるべき注意義務がある」とされています。

 

旅行会社が企画したツアーについては、旅行者の安全について配慮しなければならず、そこに不十分な点があれば、旅行会社は旅行者に対して賠償責任を負うという一般論は、妥当で当たり前だと考える方も多いとおもいますが、実際に旅行業者がどこまでの管理が要求されるかは意見が分かれるところです。

 

報道によれば、今回のバス会社は、運行経路を明確に定めていなかった、運行開始前の点呼を社長の遅刻により実施していなかったといった問題が報告されており、批判が高まっています。

 

スキー旅行を企画した会社が、こうしたバス会社の実情を把握していなかったようなので、業務を委託するにあたってどこまで監督していたか、調査が進めば、旅行会社も法的責任を問われる可能性はあると思います。

 

ただし、あまりに厳格に責任を認めてしまうと、旅行会社が自らバスを出すのと変わらなくなってしまい、それでは業務委託の意味がなくなってしまいます。したがって、違法状態を知っていたにもかかわらず黙認していたといえる事情がなければ、賠償責任を旅行会社に認めるのは困難だと考えます。

 

最終的には、クレジットカードなどについている旅行保険に旅行者自ら加入して、リスク回避を行った上で旅行を楽しむことが必要でしょう。

 

 


コラム一覧


なぜ交通事故は弁護士に依頼すべきなのか?

お問い合わせ Web予約