弁護士コラム

脳脊髄液減少症が否定された裁判例

脳近年脳脊髄液減少症という傷病に関する裁判例が多く見られるようになってきています。

 

脳脊髄液減少症については、以前ブログでも取り上げました。脳脊髄液減少症の治療法の一つであるブラッドパッチ治療に健康保険が適用になるという記事です(詳しくはこちらをご覧ください。)。

 

神戸地裁で平成28年2月17日に出された判決も、脳脊髄液減少症についての裁判例です。

 

この事案では、追突事故により当初頚椎捻挫、腰椎捻挫と診断された被害者(原告)がその後、頭痛をはじめとする種々の症状が出現し、脳神経外科で脳脊髄液減少症と診断されたと主張して争っています。なお、この事案では自賠責保険は、頸部痛、腰痛についてそれぞれ14級9号の後遺障害を認定するのみで、被害者の主張する脳脊髄液減少症については、因果関係が認められないと判断しています(被害者は5級を主張)。

 

裁判例は、まず日本脳神経外傷学会の「「外傷に伴う低髄圧液症候群」の診断基準」」(平成22年3月)など複数の研究報告書において、起立性頭痛が前提とされていることから、起立性頭痛は脳脊髄液減少症の特徴的な症状といえるとしています。

 

その上で、この事案では、医療記録上、本件事故後、起立性の頭痛があることを窺わせる記載は1年半近く存在しないことや被害者が病院の診療予約申込書において、現在の症状について、起立性頭痛を窺わせる症状を申告していない事実を認定して、起立性頭痛が生じていたとはいえないと認定しています。

 

また、起立性頭痛の症状は、「立位又は座位をとると15分以内ないし30分以内に増悪する頭痛であり、その症状は特徴的なものであるというべきであるから、原告に起立性頭痛の症状が生じていたにもかかわらず、それを自覚できなかったとは考えにくい」とも述べています。

 

さらに、この事例では、治療法の一つであるブラッドパッチについて、原告がブラットパッチ治療を受けた後に、症状自己採点表において、ブラットパッチを受けた後の数日間、それ以前と比較して頭痛が悪化した旨申告していることから、ブラットパッチ治療が原告の症状改善につながっていない点も指摘しています。

 

最終的に漏洩を示す画像所見もこの事例では認められないとして、脳脊髄液減少症は認められないと結論づけています。

 

こうした裁判例を踏まえると、脳脊髄液減少症の発症を裁判所が認定するためには、

1 起立性頭痛の発症

2 ブラットパッチ治療が効果的であり、症状が改善していること

3 脳脊髄液の減少を示す造影 MRI検査の画像所見

の3つが重要視されているといえます。

 

 


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