よくある相談Q&A

交通事故の裁判はどのように進んでいくのでしょうか?


弁護士西村裕一交通事故における裁判について、北九州で交通事故を専門とする弁護士が解説いたします。

交通事故と裁判

裁判所弁護士や検察官、裁判官といった日頃から裁判を経験しているわけではない一般の方にとって、裁判というのは未知の世界だと思います。

交通事故の被害者の方が弁護士のところに相談に来た際、裁判のことについてお話しすることがありますが、そのときの反応は、「裁判は大変なんでしょう。」、「裁判はイメージがつかなくて怖い」、「交通事故で裁判なんてするんですか。」といったものがほとんどです。

確かに、裁判は示談交渉に比べて、時間もかかりますし、多大な労力もかかってしまうため、しなくていいのであれば、裁判をしない方がよいと思います。

しかしながら、仮に相手方から満足のいく補償が得られない場合、交通事故にあわれた被害者の方が適切な補償をうけるために、裁判は必要不可欠な手段です。

交通事故に関しては、民法709条の不法行為責任や自賠法3条の運行供用者責任という法的責任に基づいた損害賠償請求ですので、法的な判断を行う裁判所はまさに交通事故の解決の場として位置付けられているのです。

 

裁判の流れ

裁判は、事案によっても進行が大きく異なることもありますが、おおむね以下のような流れで進んでいきます。

(1)訴状の作成、提出

裁判を始めるには、まず訴える立場である原告が訴状を作成して、裁判所に提出しなければなりません。

訴状には、裁判を提起する裁判所、当事者の氏名、住所といった記載に続いて、裁判官に判決で認めてほしい請求の内容(請求の趣旨といいます。)とその請求の原因となっている理由(請求の理由といいます。)を記載します。

ポイントとしては、訴状に関しては、あらゆる事実を詰め込みすぎないことが大切になります。

どちらかといえば、請求の根拠となっている事実を法律上要求されている要件に沿って記載するというイメージです。

交通事故の問題を専門の弁護士に事件処理を依頼すれば、訴状といった書類は弁護士が作成いたします。

(2)第1回期日

訴状を裁判所に提出すると、形式的な不備がないかどうかを裁判所が確認を行います。その上で、原告が提出した書類を相手方である被告に特別郵便で郵送(送達といいます。)します。

このとき、第1回の裁判期日も決定してその日時の連絡文書も送付をされます。

そして、被告は、この第1回期日までの間に答弁書といって、訴状に記載された事実について、間違いないかどうか、原告の訴えに対する意見を記載した書面を提出します。

訴状と答弁書という書類が提出された状態で第1回期日が開催されます。通常、被告は答弁書を提出した上で第1回期日は出席せず、欠席をすることが多いです。そのため、この場合には、第1回期日は原告側のみの出席で進められます。

なお、弁護士に依頼をした場合には、こうした裁判の出席も弁護士のみが行えば足りるため、被害者の方が自ら裁判に出席するというのは(5)で解説する当事者尋問の時点までないこともしばしばです。

また、仮に、被告が第1回期日までに答弁書を提出せず、裁判期日にも出頭しなかった場合には、被告に言い分がないものと取り扱われ、事件は終結となり、約1週間後には判決が下されます(欠席判決といいます。)。

こうした欠席判決は保険会社がいるケースではまず起こりませんが、加害者が任意保険に加入していないケースでは、起こることがあります。

(3)第2回以降の期日

裁判第1回期日の後は、通常1か月に1回程度のペースで裁判が進行していきます。

裁判は基本的に書面を双方が提出しあっていきます。具体的には、原告、被告が互いに自分の主張を行うのと合わせて、相手方の反論を準備書面という書面にして期日までに提出し、この書面の出し合いを続けていく中で、互いの主張と争点を整理していきます。

なお、交通事故の裁判の特徴として、文書送付嘱託や調査嘱託という手続が比較的多くなされるという点が挙げられます。

文書送付嘱託や調査嘱託では、治療を受けた病院からカルテを取り寄せたり、警察署、検察庁から事故状況を記載した実況見分調書を取り寄せたりすることで、争点に重要な事実を確認する手続がなされます。

病院のカルテは、通常保険会社との示談交渉レベルでは、具体的な中身まで確認することはほとんどありません。

したがって、カルテが出てきたことで、新たな事実が発見され、それまでの主張を保険会社が覆して、治療期間や後遺障害の有無などを争ってくるということもしばしば起こります。

したがって、裁判を提起する場合には、カルテ開示によって、被害者の方に不利な事実となりうるものはないかどうかチェックしておかなければ、示談の段階よりも賠償額が下がってしまうというリスクがあるので、注意が必要です。

(4)和解の検討

書面のやり取りを行っていくとおおむね争点に対する原告、被告の互いの主張が明らかとなってきます。そして、その主張を裏付ける証拠の内容も裁判で検討がされます。

その段階に至ると、事案によっては、裁判所から和解案を提案されることがあります。

この和解案は、あくまで裁判官の暫定的な印象による解決案ですから、判決と必ずしも一致するわけではありませんが、双方の主張を踏まえての案ですから、この和解案を受け入れるかどうかを検討していくことになります。

原告も被告もこの和解案を受け入れれば、和解が成立し、事件が終結することになります。

(5)証人尋問、当事者尋問

和解が成立しない場合には、人証と呼ばれる証拠調べを行うことになります。

テレビドラマでよく見かける法廷シーンのように、証人や原告、被告本人という当事者が裁判官の前の証人席に座って、互いの代理人からの質問に答えるという手続です。

日頃から裁判を取り扱っている弁護士でもこの証人尋問、当事者尋問は十分な準備をして望みます。ですので、経験のない方にとっては、非常に緊張感のある手続になります。

この手続は代理人だけの出席では成立しませんので、被害者の方にも裁判に出席していただく必要があります。

(6)判決

証人尋問や当事者尋問が終われば、基本的には証拠調べが終了します。したがって、この段階で審理を集結し、裁判官が判決を出します。

判決は原告の請求をすべて認める全部認容判決、原告の請求の一部を認める一部認容判決、原告の請求をすべて棄却する請求棄却判決があります。

判決に双方が不服がなければ、判決が確定し事件が終了しますが、不服がある場合には、控訴や上告といった手続があり、上位の裁判所に事件が移っていきます。

 

 

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