よくある相談Q&A

交通事故で鎖骨骨折。後遺症(後遺障害)は?【弁護士が解説】


掲載日:2017年7月10日|最終更新日:2019年6月11日

鎖骨骨折交通事故にあった場合、鎖骨の骨折をすることがあります。

鎖骨骨折は、自転車やバイクから転倒したときに、肩を上または横から打ち、鎖骨の中央部から1/3の部分を損傷するケースが多くみられます。

鎖骨骨折の後遺症ですが、自賠責保険における後遺障害の等級では、鎖骨の変形・欠損が明らかな場合は12級5号、痛みが残存する場合は14級9号に該当する可能性があります。

また、肩関節の可動域制限がある場合は、10級10号または12級6号に認定される可能性もでてきます。

鎖骨骨折とは

鎖骨は、人の体の前の部分に位置する骨です。

デコルテと呼ばれる部分を構成していて、首元から肩関節に向かって伸びている長い骨になります。

この長い骨が折れることを鎖骨骨折といいます。

鎖骨骨折は、鎖骨のちょうど中央部分が折れる骨幹部骨折と肩関節に近い部分が折れてしまう遠位端骨折などの種類があります。

交通事故では、自転車やバイクといった二輪車に乗っている際の交通事故で比較的多く発生します。

自転車やバイクの場合、転倒して地面に体の前部を打ち付けてしまうことが多いためです。

鎖骨骨折の症状

説明する男性のイラスト

鎖骨骨折の症状ですが、骨を折っているわけですので、骨折している部分に痛みが生じます。

また、皮下出血も起こるため、骨折した周辺が腫れることもあります。

また、骨折した部分が遠位端(肩に近い方)の場合、肩関節を構成している部分が折れているため、肩を動かす動作に支障が出たり、動作時に痛みが生じたりすることもあります。

鎖骨骨折の後遺症

鎖骨骨折のけがを負った場合には、一定期間治療をしても骨がうまくくっつかずに、変形してしまった状態で症状固定となったり、肩関節がうまく動かせなくなったりといった後遺症が残ってしまう可能性があります。

また、骨折した部分の痛みが完全に治らずに最終的に残ってしまうということもあります。

こうした後遺症を補償してもらうためには、後遺障害診断書を作成の上、自賠責保険で定める後遺障害の認定を受けなければなりません。

 

 

鎖骨骨折の後遺障害

鎖骨骨折に関して、自賠責保険で設けている後遺障害には、①変形障害、②機能障害、③神経障害の3つがあります。

変形障害

話し合いのイメージイラスト

まず、折れた鎖骨がうまくくっつかずに、変形して癒合するということがあります。

これに関しては、12級5号で「鎖骨に著しい変形を残すもの」という後遺障害が用意されています。

この「著しい変形」がどのような場合かというと、裸になったときに鎖骨の変形が目視で明らかな場合とされています。

したがって、レントゲンの画像では鎖骨の変形が確認できる場合でも、裸になったときに目視でわからなければ、「著しい変形」には当たらず、12級5号に該当しません。

つまり、12級5号の後遺障害が認定されるためには、レントゲンで変形を確認でき、目視でも確認できる必要があります。

 

機能障害

病院で測定をするイメージイラスト

鎖骨には、上肢と体幹の距離を取る役割と肩関節の動きを助ける役割もあります。

そのため、鎖骨を骨折すると、肩関節に可動域制限が生じてしまい、リハビリをしてもその制限が残ってしまうことがあります。

こうした可動域制限について、自賠責保険では以下の基準が用意されています。

10級10号
1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号
1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

具体的にどの程度の可動域制限が生じた場合に該当するかというと、骨折のない正常な側の肩の可動域と比べて可動域が以下のように制限される場合にそれぞれ認定される可能性があります。

  • 1/2以下に制限 ⇒ 10級10号
  • 3/4以下に制限 ⇒ 12級6号

例えば、肩関節の動きの中で外転(腕を横から耳のところまで上げる動き)という動きがあります。

この外転は正常な肩の場合、可動域は180度です。

したがって、90度以下の場合には10級10号、135度以下の場合には12級6号が認定される可能性があります。

 

神経障害

鎖骨骨折の後遺障害としては、骨折した部分の痛みが取れなかった場合、神経障害として、以下の後遺障害に該当する可能性があります。

12級13号
局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号
局部に神経症状を残すもの

12級と14級の違いは、痛みの原因が医学的にきちんと証明までできるかどうかであるといわれています。

すなわち、12級に該当するのは、骨折した部分が完全にくっついていないことがレントゲン画像で明らかで、そのことが痛みの原因であるとわかるようなケースです。

したがって、骨がきちんとくっついている事案では、12級ではなく、14級9号の認定の可能性が残ります。

 

 

鎖骨骨折の注意点

このように、鎖骨骨折の場合には、変形障害や機能障害、神経障害といった後遺症(後遺障害)が残ってしまう可能性があります。

したがって、鎖骨骨折と診断された場合には以下の点に注意が必要です。

 

きちんと整形外科での治療を受ける

鎖骨骨折は骨折している以上、レントゲン検査やCT検査を受け、場合によっては手術を受けなければならないけがです。

そのため、きちんと整形外科で検査を行い、定期的な通院を継続していくことが重要です。

鎖骨骨折では、通院が長期間になる可能性もあり、次第に病院に行くのが面倒になってくるケースもありますが、通院をきちんとしておかないと、いざ後遺症が残った場合に、自賠責保険へ手続をするために必要となる後遺障害診断書を医師に書いてもらえないということになりかねません。

リハビリも含めて、しっかりと整形外科での受診をすることが大切です。

鎖骨部分の写真を撮影しておく、可動域検査を受けておく

通院鎖骨骨折の後遺症のうち、変形障害として自賠責保険の後遺障害が認定されるのは、先ほど解説したとおり、裸体になったときに変形がわかるものとなっています。

そのため、鎖骨骨折の事案では、自賠責保険の後遺障害の手続においても、通常の書面審査と異なり、自賠責損害調査事務所で、実際に被害者と面談を行って確認することもあります。

その際、実際の面談に先立って、自賠責保険へ後遺障害の手続をする段階で鎖骨部分の写真を撮影し、送付しておくことが効果的なこともあり、専門家である弁護士のサポートを受けたほうがよいでしょう。

また、遠位端の骨折の場合には、肩関節の可動域に影響がでるおそれがありますので、症状固定時にきちんと可動域検査を受けておく必要があります。

その上で、後遺障害診断書に測定した可動域の結果をきちんと医師に記入してもらいましょう。

 

休業損害や逸失利益で争いになることが多い

鎖骨骨折の後遺障害の問題点の一つとして、賠償の問題で保険会社とトラブルになるケースが比較的多いということです。

すなわち、鎖骨骨折により休業をした場合の休業損害や後遺障害が認められた場合の逸失利益について争いになることが多いのです。

これは、変形障害のケースで特に多いです。

鎖骨が変形したということが仕事や今後の収入にどのように影響するのかという点が機能障害や神経障害などの後遺症と違って問題になりやすいためです。

保険会社としては、鎖骨が変形したからといって、日常生活には支障がないはずだとして逸失利益を一切認めないということも出てきます。

そのため、鎖骨骨折のけがを負った場合には、交通事故を専門とする弁護士に早めに相談して、示談交渉を進めたほうがよいでしょう。

 

 

 

関連Q&A


交通事故よくある相談Q&A一覧




なぜ交通事故は弁護士に依頼すべきなのか?

お問い合わせ Web予約