よくある相談Q&A

交通事故で大腿骨頭骨折と診断されました。後遺症は認定されますか?


執筆者:弁護士 西村裕一

大腿骨頭及び大腿骨頚部骨折は難治性の骨折(治りにくい骨折)といわれています。

大腿骨頭を骨折した場合、症状に応じて、8級~14級の後遺障害が認定される可能性があります。

 

大腿骨頭骨折とは

足の太ももにある骨を大腿骨といいます。人間の体の中でも比較的大きな骨になります。そして、大腿骨上端は骨盤と接続していて、股関節の中にあります。

大腿骨の上端は球状(ボール)の形をしており、大腿骨頭といいます。

この大腿骨頭が骨折することを、大腿骨頭骨折といいます。

また球状の部分を繋ぐ部分を大腿骨頚部といいます。漢字のとおり頭を支える首の部分という意味です。

大腿骨頭骨折は、治りにくいけがで後遺症の可能性が高いといえます。

症状

膝を痛めた女性大腿骨頭を骨折すると、骨折部である股関節の痛みを訴えます。

また、起立や歩行もできないことがありますが、腫れは少なく皮下出血がありません。

転位(骨折箇所のズレ)が大きいと、下肢の短縮がおこります。

高齢者の場合は、併存する呼吸器、循環器、消化器など内科的疾患などの増悪、長期間治療による認知症の発症など、増悪する症例が多くあります。

また、大腿骨頭は骨盤と股関節を形成しているので、大腿骨頭と場所が近い、骨盤の骨折を併発することも多いです。

検査方法

レントゲン単純X線(レントゲン)での画像が撮影されています。

骨折線が不明な場合はCTが使われることがあります。CTで撮影すれば、骨を360度に渡って確認することができ、骨折した部位も含めて、大腿骨の状態を把握することができます。

治療方法

70歳くらいまでの受傷者と高齢の受傷者で治療方法が異なります。

70歳くらいまでの受傷者の場合

膝を痛めた女性骨折した骨のズレが小さい場合、手術をしない保存療法が行われます。

しかし、骨折した骨のズレが大きい場合は骨癒合を得るため、スクリューやプレートなどを組み合わせ、骨を接合する手術が行われています。

手術後は、リハビリをして、下半身の筋力を強化します。

高齢の受傷者の場合

通院介助大腿骨頭の骨折は股関節に影響があるため、しばらく歩けなくなることもあります。

高齢者の場合、骨折が原因で寝たきりになってしまうということもありますので、受傷者が早い時期にベッドから起き上がり歩けるようになるため、骨折した骨にズレがなくても、人工骨頭置換術を行われ流ことがあります。

人工骨頭とは、金属製の部材を骨折した骨頭につけて、新たに人工の骨頭を形成することです。

 

 

大腿骨頭骨折の交通事故の後遺症等級

大腿骨頭部骨折は治癒が難しい骨折といわれています。

大腿骨頭には栄養を補給する動脈が通っており、股関節内部での骨折によって動脈が断裂し、損傷した骨頭に栄養が行き渡らなくなり、その結果、骨のくっつきが悪くなったり、骨が壊死したりするなどの合併症がおこる可能性が高いためです。

大腿骨頭は、血流が少ない部分なので、骨折で動脈に損傷が出てしまうと、栄養を補給するルートが断たれてしまうのです。

したがって、この部分の骨折は難治性の骨折といわれており、股関節の機能障害が残存する可能性があります。

具体的には、以下のような後遺障害の可能性があります。

後遺障害の具体例

人工骨頭を入れた場合には、可動域に応じて、以下の等級が認定される可能性があります。

人工骨頭置換をした場合
  • 健側(怪我をしていない側の股関節)と比べ1/2以下⇒ 8級7号
  • 健側(怪我をしていない側の股関節)と比べ3/4以下⇒ 10級11号

人工骨頭を入れていない場合でも、骨折により股関節の可動域制限が残れば、それぞれ以下に認定される可能性があります。

内固定が施術され、股関節の可動域に制限が残存した場合
  • 健側(怪我をしていない側の股関節)と比べ1/2以下⇒ 10級11号
  • 健側(怪我をしていない側の股関節)と比べ3/4以下⇒ 12級7号

転移が大きい場合などは、大腿骨の長さが短くなってしまう可能性があります。その場合、短縮の程度に応じて、それぞれ以下に認定される可能性があります。

大腿骨頸部が短縮して骨癒合した場合
  • 5㎝以上短縮した場合⇒ 8級5号
  • 3㎝以上短縮した場合⇒ 10級8号
  • 1㎝以上短縮した場合⇒ 13級8号

また、骨折した部分に痛みが残った場合には、神経症状の後遺障害として12級13号や14級9号が認定される可能性があります。

 

 

交通事故で大腿骨頭骨折のポイント

リハビリはしっかりと行う

リハビリこのように大腿骨頭骨折は、股関節に影響を与えかねないけがになります。

骨折したばかりの段階では、もちろん骨折した部分を安静にしなければなりませんが、急性期を過ぎた後では、リハビリを適切に行わなければ、可動域の制限が回復しないというリスクが出てきます。

また、リハビリをきちんとしなければ、保険会社の方が治療を行っていないと判断して、治療の打ち切りを持ちかけてくるというリスクも高まりますし、通院日数が少ないとして慰謝料を少なくする方向に働いてしまいます。

したがって、可動域をできる限り元どおりにするためにも、適切な治療期間を確保し、適切な慰謝料を補償してもらうためにも、リハビリをしっかりと行うことが大切です。

後遺障害の内容をチェックする

チェックリストのイメージイラスト大腿骨頭骨折はこれまで説明してきたように、可動域制限に関する機能障害、変形障害、痛みによる神経障害という大きく分けて3つの類型の後遺障害の可能性があります。

そして、このうちのどれが認められるかによって、補償の内容も変わってきます。それは逸失利益という項目が、将来の収入減少に対する補償で、後遺障害の内容によって、補償期間が異なってくるからです。

したがって、自分の残っている症状がどのようなものであるかをしっかりと把握し、それに見合った後遺障害が得られるようにしなければなりません。

後遺障害は一生を左右する問題ですので、場合によっては、専門家である弁護士に相談しながら、サポートを受けて手続を進めることも大切です。

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