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交通事故で大腿骨頭骨折。後遺障害は認定される?【弁護士解説】


掲載日:2018年10月22日|最終更新日:2019年6月11日

交通事故で大腿骨を骨折することがありますが、大腿骨頭及び大腿骨頚部の骨折は難治性の骨折(治りにくい骨折)といわれています。

大腿骨頭を骨折した場合、症状に応じて、8級~14級の後遺障害が認定される可能性があります。

 

大腿骨頭骨折とは

足の太ももにある骨を大腿骨といいます。

人間の体の中でも比較的大きな骨になります。

大腿骨の先端部分は骨盤の方に向かって伸びており、股関節のところにあります。

大腿骨の先の部分はボール状の形をしており、大腿骨頭といいます。

この大腿骨頭を骨折することが大腿骨頭骨折です。

また、大腿骨頭の部分と太い骨の部分を繋いでいる部分を大腿骨頚部といいます。

首のことは頚部といいますが、文字通り頭を支える首の部分という意味でつけられている名称です。

 

 

大腿骨頭骨折と後遺症

大腿骨頭骨折は治りにくいけがとされており、後遺症の可能性が高いといえます。

大腿骨頭には栄養を補給する動脈が通っていますが、骨折によってこの動脈が断裂してしまうことがあります。

動脈が断裂してしまうと、骨折した骨頭の部分に栄養が十分に行き渡らなくなってしまいます。

そうすると、骨のくっつきが悪くなったり、骨が壊死したりするなどの合併症がおこる可能性が高くなります。

大腿骨頭は比較的血流が少ない部分なので、骨折により動脈に影響が出てしまうと、栄養を補給するルートが断たれてしまいやすいのです。

主な症状

膝を痛めた女性

大腿骨頭を骨折すると、骨折した場所に当然痛みがでます。

先ほど解説したとおり、大腿骨頭は股関節の部分にありますので、股関節の部分に痛みがでるということになります。

また、大腿骨頭は股関節を構成しているため、骨折すると股関節の動きに影響を及ぼす可能性があります。

具体的には、骨折していない側の股関節に比べて動かせる範囲が狭くなってしまうという症状です。

他にも、骨のズレが大きいと骨の長さが左右で変わってしまい、バランスが取りにくくなるといった症状も起こりえます。

さらに、大腿骨頭は股関節の部分ですので、骨折するとしばらく起き上がることができないというケースもあり、高齢者の場合には、ADL全般の低下や認知症の進行などもリスクとしてあります。

このように大腿骨頭骨折は、①痛み後遺症②股関節の可動域の制限③骨の短縮による変形障害という3つの後遺症が残る可能性があります。

 

 

大腿骨頭骨折と後遺障害

交通事故で大腿骨頭骨折のけがを負ってしまった場合、病院で治療やリハビリを行っても先ほどのような後遺症が残ってしまうということがありえます。

後遺症が残ってしまった場合には、後遺症を補償してもらうために後遺障害の申請をして、等級の認定をしてもらわなければなりません。

大腿骨頭骨折の後遺症に関しては、自賠責保険では以下の後遺障害の等級が用意されています。

①痛みの後遺症に関する後遺障害

まず、骨折した部分の痛みが残ってしまったという場合について、自賠責保険では、12級と14級の後遺障害の基準が設定されています。

12級13号 局部に頑固な神経症状が残るもの
14級9号   局部に神経症状が残るもの

12級の方が後遺症の程度が重いということですが、12級と14級を分けるポイントの一つは、画像所見です。

股関節レントゲンつまり、骨折した部分のレントゲンやCTの画像から骨が完全にくっついていないことやきれいにくっついていない(癒合不全といいます。)といった状況が確認できる場合には、より重い12級が認定されることになります。

ここでいう画像とは、交通事故の直後にとられたものではなく、骨折後に一定期間治療をした後の段階、つまり症状固定の段階で撮影された画像のことです。

 

②膝関節の可動域の制限に関する後遺障害

大腿骨頭骨折により、股関節の動きに影響が出るということを先ほど説明しました。

こうした可動域の制限についての後遺障害は以下の等級が基準として設けられています。

人工骨頭置換をした場合

大腿骨頭骨折のけがをした場合、骨折の程度がひどかったりすると、回復が困難であると医師が判断し、骨折してしまった大腿骨頭を人工のものに変更する手術をすることがあります。

この人工骨頭を挿入する手術をした場合には、後遺障害として、以下の等級に該当することになります。

8級に該当するか10級に該当するかは、一定期間のリハビリを行ったのち、症状固定のタイミングでどれだけ可動域の制限が残っているかによって変わってきます。

8級7号   1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
骨折をした方の可動域がけがをしていない方の股関節の半分以下に制限されている場合
10級11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
骨折をした方の可動域がけがをしていない方の股関節の半分以下にまでは可動域の制限がない場合

人工骨頭を挿入した場合には、少なくとも10級に該当することになります。

 

人工骨頭を入れていない場合

人工骨頭を入れていない場合でも可動域制限が残れば、後遺障害が認定される可能性があります。

10級に該当するか12級に該当するかは、どれだけ可動域の制限が残っているかによって変わってきます。

10級11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
骨折をした方の可動域がけがをしていない方の股関節の可動域の半分以下に制限されている場合
12級7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
骨折をした方の可動域がけがをしていない方の股関節の可動域の4分の3以下に制限されている場合

したがって、4分の3に満たない可動域制限の場合には、後遺障害には該当しないということになります。

股関節の主要運動は、屈曲・伸展と外転・内転という運動になります。

屈曲は股関節から足を体の上に持ち上げる動き、伸展はうつぶせの状態から足をお尻側へ反る動きです。

外転と内転は股関節から足を外側と内側にそれぞれ動かす動きです。

 

骨の短縮による変形障害に関する後遺障害

大腿骨頭の骨折で骨のズレが大きい場合などは、大腿骨の長さが短くなってしまう可能性があります。

こうした骨の短縮による変形障害について、自賠責保険は後遺障害として短縮の程度に応じて、以下の等級基準を設けています。

8級5号   1下肢を5㎝以上短縮したもの
10級8号 1下肢を3㎝以上短縮したもの
13級8号 1下肢を1㎝以上短縮したもの

 

 

交通事故で大腿骨頭骨折のけがをした場合のポイント

リハビリはしっかりと行う

リハビリここまで解説してきたように、大腿骨頭骨折は股関節に影響を与えかねないけがになります。

骨折したばかりの段階では、骨折した部分を安静にしなければなりませんが、急性期を過ぎた後では、リハビリを適切に行わなければ、可動域が回復しないというリスクが出てきます。

また、リハビリをきちんとしなければ、保険会社の方が治療を行っていないと判断して、治療の打ち切りを持ちかけてくるというリスクも高まりますし、実際の通院日数が少ないと慰謝料が少なくなる方向に働いてしまいます。

したがって、可動域をできる限り元どおりにするためにも、適切な治療期間を確保し、適切な慰謝料を補償してもらうためにも、リハビリをしっかりと行うことが大切です。

 

後遺障害の内容をチェックする

チェックリストのイメージイラスト大腿骨頭骨折のけがを負うと最終的に①痛みによる後遺症、②股関節の可動域の制限、③骨の短縮による変形障害という大きく分けて3つの類型の後遺障害の可能性があります。

そして、このうちのどれが認められるかによって、補償の内容も変わってきます。

認定される等級が変わってくるのはもちろん、後遺障害が認定された場合に補償対象となる逸失利益という項目が将来の収入減少に対する補償で、後遺障害の内容によって、補償が異なってくるからです。

したがって、交通事故で大腿骨頭骨折になってしまった場合、自分に残っている症状がどのようなものであるかをしっかりと把握し、それに見合った適切な後遺障害が得られるようにしなければなりません。

後遺障害は一生を左右する問題ですので、専門家である弁護士に相談しながら、サポートを受けて手続を進めることも大切です。

 

 

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