よくある相談Q&A

右肩打撲後、CRPSの疑いと告げられたが後遺障害認定される?


自転車事故のイメージイラスト歩行中、自転車と接触し転んで右肩打撲と診断されました。

その後肩の痛みが続きCRPSの疑いと医師に告げられました。

このまま痛みが続いたら後遺障害として認められるのでしょうか?

 

肩の痛みのイメージ画像CRPSとは、複合性局所疼痛症候群のことで、カウザルギーと反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の2つの疾患の総称した疾患名です。いずれも交通事故による外傷後の痛みが続く疾患です。

痛みの程度によって、神経障害の後遺障害等級が認定される可能性があります。

交通事故に精通した弁護士が解説します。

 

 

複合性局所疼痛症候群(CRPS)とは

CRPSとは、複合性局所疼痛症候群のことです。英名のcomplex regional pain syndromeの略称です。

 

 

カウザルギーと反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)

CRPSのイメージイラスト複合性局所疼痛症候群(CRPS)は、カウザルギーと反射性交感神経性ジストロフィー(RSDはreflex sympathetic dystrophyの略称)の2つの疾病を、1994(平成6)年世界疼痛学会が総合した呼称です。

カウザルギーは、神経障害性の疼痛がある疾患のひとつで神経損傷があるものです。

一方、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)も神経系の障害がありますが、神経損傷がない疾患です。

 

CRPSの症状

カウザルギーの症状

ギリシャ語で「熱」という言葉の通り、末梢神経の損傷(不完全損傷)によって生じる灼熱痛があります。

 

反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の症状

交感神経が異常に高ぶり、末梢への血流が滞り、末梢の組織が萎縮し疼痛が発生し、筋委縮、発汗異常、関節拘縮、骨萎縮などが発症します。

 

 

複合性局所疼痛症候群(CRPS)の交通事故における後遺障害認定等級

カウザルギーの場合

カウザルギーは、交通事故の後遺障害等級認定基準の外傷後の疼痛のうち特殊な性状の疼痛に規定されています。

認定される等級は疼痛の程度によって 7級、9級、12級の可能性があります。

医者の解説イメージイラスト7級が認定されるためには「軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛がある」ことが必要となります。

9級が認定されるためには「通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限される」ことが必要となります。

12級が認定されるためには、「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こる」ことが必要となります。

 

反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の場合

反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)は、2003(平成15)年8月カウザルギー類似の疼痛として自賠責保険の等級障害認定基準に追加されました(等級障害認定基準の外傷後の疼痛のうち特殊な性状の疼痛に規定)。

認定される等級は疼痛の程度によって 7級、9級、12級の可能性があり、要求される疼痛の程度はカウザルギーの場合と同様です。ただし、RSDの場合は、下記の3つの客観的基準を満たすことも要求される点に注意が必要です。

 

 

RSDの交通事故の後遺障害認定基準の問題点

3つの客観的基準の要求

医者の解説イメージイラスト反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)は、カウザルギーと異なり神経損傷がないため、自賠責保険では下の3つの客観的基準を要求しています。

①関節拘縮
②骨の萎縮
③皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)
という慢性期の主要な3つのいずれも症状も健側に比較して明らかに認められる場合に限定されています。

 

反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の発症の有無

後遺障害認定に当たり、反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の発症の有無が問題となっています。

裁判例でも
 事故の受傷状況
 診療経過
 反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)のの医学的知見
 医療分野の診断基準
 医師の診断書、意見書
 損害保険料率算出機構の等級認定結果
をもとに反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の発症の有無を判断し、上記自賠責の①~③要件のうち、すべてに所見は必要とする裁判例(東京地判平24.3.27など多数)と②の骨萎縮がなくても反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)と認める裁判例(神戸地判平22.12.7など)があります。

 

 

RSDの発症が否定された場合の交通事故の後遺障害等級

反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)の発症が否定された場合、後遺障害等級は12級、14級に認定される可能性があります。

 

 

RSDその他の問題点

弁護士小原隆寛画像反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)が7級から12級の等級に認定されても、受傷者の心理的・精神的要因がRSDの発症に寄与している場合などは、素因減額がなされることがあります。

以上のように、CRPSで後遺障害と認定されるための要件は複雑ですので、CRPSの可能性を指摘されたような場合には、早めに弁護士に相談することが重要です。

 

 

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