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交通事故で線維筋痛症、後遺障害は?【弁護士が解説】


掲載日:2017年5月2日|最終更新日:2019年6月11日

交通事故外傷受傷後、線維筋痛症が発症し痛みのため働けません。

後遺障害として認められますか?
膝を痛めた女性のイラスト

交通事故で線維筋痛症になった場合、全身の疼痛が慢性的に生じるため、神経症状の障害として後遺障害が認定される可能性があります。

もっとも、線維筋痛症は医学的に未解明の部分も多く、非常に難しいけがですので、専門医の受診が必要になってきます。

 

 

線維筋痛症とは

神経の痛みのイメージ画像線維筋痛症とは、疼痛(痛み)に関するけがであり、広範囲に、かつ、慢性的に痛みが生じ続けるものといわれています。

もっとも、この痛みについて明確な原因を特定するのが難しいという特徴があります。

また、線維筋痛症では、痛みや全身性のこわばり以外にも、頭痛や疲労感、異常感覚といった様々な神経症状が生じます。

現在、日本には約200万人の線維筋痛症の患者がいるとされています。

 

 

線維筋痛症と交通事故

こうした線維筋痛症がどうして発生するかという点については外因性のものと内因性のものがあるとされていますが、日本線維筋痛症学会がまとめた「線維筋痛症ガイドライン2017」によれば、外傷、特に交通事故による頚椎損傷が強い発症要因とする報告が多数あると指摘されています。

つまり、交通事故による頚椎捻挫による、いわゆるむちうちの症状が線維筋痛症につながっているという可能性があるのです。

そのため、交通事故と線維筋痛症とは決して無関係とは言い切れないものなのです。

 

 

線維筋痛症の基準

チェック先ほどのガイドラインでは、被害者に生じている症状が線維筋痛症といえるかの判断基準について、1990年にアメリカのリウマチ学会が発表した基準が有用であると指摘しています。

具体的には、以下のチェックポイントがあります。

チェックポイント1「広範囲にわたる疼痛」
まず、広範囲にわたる疼痛の病歴の存在が必要です。
ここで広範囲とは、右半身と左半身、上半身、下半身、頚椎、前胸部、胸椎、腰椎とされています。
つまり、全身に痛みがあるというのがチェックポイントになっています。
 
チェックポイント2「指を用いた触診18か所の圧痛点のうち11か所以上に疼痛を認めること」
チェックポイント1に該当した上で、指を用いた触診により18か所の圧痛点のうち11か所以上に疼痛を認めることが基準に挙げられています。
また、触診の強さについて、4kg/cmされており、この強さは押さえるのに使用する指の爪が白くなる程度の力とされています。
この強さで押したときに痛みに対する言葉で出るかどうか、痛いという表情をするかどうかという点をチェックすることになっています。

線維筋痛症として認めてもらうためには、こうした診断基準を満たしていることが必要となります。

 

 

線維筋痛症と後遺障害

線維筋痛症による症状は慢性的なものであり、全身の痛みが長期間にわたって継続する可能性があります。

そうすると、線維筋痛症による症状については、自賠責保険の後遺障害の申請を行うことを検討しなければなりません。

この点、自賠責保険では、線維筋痛症に特有の等級基準を用意しているわけではありません。

しかしながら、線維筋痛症による症状が一切後遺障害に該当しないわけではなく、神経症状として、以下の後遺障害に該当する可能性があります。

12級13号  局部に頑固な神経症状を残すもの
12級13号に該当するためには、痛みの原因が医学的に証明可能なものとされており、画像所見で異常が認められることが必要であると考えられています。
線維筋痛症は、原因不明な症状であるとされていることもあり、なかなか画像所見で異常が見つかりません。
 
そのため、線維筋痛症で12級13号が認定される例は決して多くはありません。
14級9号  局部に神経症状を残すもの
14級9号が認定されるかどうかについては、受傷原因である交通事故の内容や程度、通院状況や治療内容、症状の推移等の事情によって判断されます。

 

 

線維筋痛症の注意点

このように交通事故により線維筋痛症の症状が出た場合には、以下の点に注意が必要です。

専門医の診断を受ける

線維筋痛症はまだまだわからないことが多い病気の一つです。

したがって、診断基準に該当するかどうかを適切に判断してもらうためには、線維筋痛症を専門としている病院や診断基準を作成している日本線維筋痛症学会に所属している医師に診てもらうことが必要になってきます。

その上で、被害者の方に生じた具体的な症状と予後について、医師の意見をしっかりと経過診断書や後遺障害診断書に記載してもらうということが重要になります。

実際、過去の裁判例でも、先ほど紹介した線維筋痛症のガイドラインに照らして被害者の症状に不合理な点があるとしたものもあります。

したがって、交通事故と線維筋痛症の因果関係を認めてもらうためにも、専門医の診断を受けることが大切です。

 

保険会社とトラブルになりやすい

弁護士線維筋痛症は、原因がはっきりしないということから、そもそも交通事故と症状との間に因果関係が認められるかどうかについて保険会社と争いになることも多いです。

また、仮に因果関係が認められたとしても、線維筋痛症は内的要因もあるとして、素因減額の主張をされることも考えられます。

このように、線維筋痛症というけがは保険会社とトラブルになりやすいという側面があります。

そのため、交通事故を専門とする弁護士に相談し、できるだけトラブルを未然に回避することが必要になります。

 

後遺障害の申請にも注意を要する

砂時計線維筋痛症は、全身の痛みが慢性的に生じるとされています。

そのため、後遺障害の申請を行うにあたって、注意点があります。

それは、いつ後遺障害の申請をすべきなのかという点です。

後遺障害の申請を行うタイミングは、症状がこれ以上改善しないという時点、症状固定と判断できるところで後遺障害診断書を作成して行います。

しかしながら、線維筋痛症の場合、この症状固定がいつになるのかを判断するのが非常に難しくなります。

そのため、主治医とよく相談して、いつ後遺障害の申請を行うのかについても十分な検討が必要になります。

 

 

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