よくある相談Q&A

橈骨・尺骨骨幹部骨折で治癒が難しく後遺症残存。後遺障害認定?


橈骨・尺骨骨折についての質問です。

交通事故にあって、病院に行ったところ、橈骨・尺骨の骨折と診断されました。

この骨折は治癒が難しく、後遺症の残存が極めて高いと聞いて不安になっています。

仮に、治療をしても完治しなかった場合、後遺障害の等級に認定されますか?

 

 

 


執筆者:弁護士 西村裕一

橈骨・尺骨骨折(とうこつ・しゃっこつこっせつ)は、前腕の骨が折れる傷病です。

橈骨と尺骨がある前腕の軟部組織は貧弱なため、遷延癒合、癒合不全を起こしやすく、後遺障害として、拘縮による手関節・手指の用廃、骨癒合不全による運動機能障害、変形・欠損障害などが残る可能性があります。

また、骨折部の痛みが残ることで、神経症状の障害が残る可能性もあります。

後遺障害の等級は残存症状により7級~14級まで認定されます。

したがって、交通事故にあって、橈骨・尺骨の骨折と診断されたら交通事故の専門の弁護士に早めにご相談されるのがよいでしょう。

橈骨・尺骨とは

上肢の肘から手首までを前腕といいます。この前腕には、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)の2つの骨があります。

鳥の手羽先を食べると、2つの骨が上下の部分で繋がって、間に空間がある状態を確認することができると思いますが、人間の腕も2つの骨が肘関節と手関節を構成しており、この骨が橈骨と尺骨です。

橈骨は親指側の骨、尺骨は小指側の骨です。

尺骨は肘のほうが太く、手首に向かうと細くなり、橈骨は肘のほうが細く手首に向かうと太くなります。橈骨と尺骨はお互いを軸として、前腕を体の内外に回転する働きを持っています。

発生原因

事故橈骨・尺骨骨折の発生原因ですが、交通事故の際、転倒のとき前腕を地面に強打したときや、地面に手をついた時に腕をひねったときに橈骨・尺骨に骨折が生じます。

橈骨と尺骨が両方とも骨折するケースもありますし、どちらか一方の骨のみが骨折するというケースもあります。バイク事故や自転車事故の場合には、転倒のリスクが高いので、橈骨・尺骨の骨折が生じる可能性が高くなります。

症状

橈骨・尺骨の骨折の症状ですが、骨折部に腫れと痛みがでます。初期は特に内出血とともに腫れが強く出ることがあります。そして、橈骨と尺骨が前腕部に位置するため、前腕を回すと痛みが強くなります。

骨折した部分が手に近いと手首の動きの際にも痛みがでます。また、前腕の骨折による変形が見られることもあります。

さらに、合併症として、神経障害や前腕の血流が乏しいため癒合不全、阻血性拘縮が生じる可能性があります。

橈骨・尺骨骨折は治療が難しい傷病とされています。

それは、前腕は軟部組織が貧弱で、血流が悪く、遷延癒合や癒合不全を起こしやすかったり、橈骨・尺骨が解剖学的に正しい位置へ戻らないと、前腕を体の内外に回転させる運動に障害を残すなどの理由からです。

また、上記のような特徴から治癒や症状固定の日の見込みを立てるのが困難です。

 

 

交通事故における橈骨・尺骨骨折の後遺障害

橈骨・尺骨を骨折した場合、治療を継続しても完治せず、さまざまな後遺障害の残存が予想されます。

阻血性拘縮が発症し、手関節、手指の用廃となった場合
  • 手関節の用廃として⇒ 8級6号
  • 手指の用廃として⇒ 7級7号または8級4号として、準用第6級に該当する可能性があります
橈骨・尺骨両骨の癒合不全が残存した場合
  • 常に硬性装具が必要なとき⇒ 7級9号
  • 硬性装具が不要なとき⇒ 8級8号
橈骨・尺骨のどちらか一方に癒合不全が残存した場合
  • 時々硬性装具が必要なとき⇒ 8級8号
  • 硬性装具が不要なとき⇒ 12級8号
そのほか
  • 橈骨・尺骨両骨に15度以上の変形が残存した場合⇒ 12級8号
  • 橈骨または尺骨の骨端部をほとんど欠損した場合⇒ 12級8号
  • 橈骨もしくは尺骨の直径が1/2以下に減少した場合⇒ 12級8号
  • 前腕の回内・回外に運動制限が残存する場合⇒ 準用10級、準用12級

また、他の骨折と同じく、骨折した部分の痛みが残った場合には、神経症状として、14級9号の後遺障害と認定される可能性があります。

骨癒合がうまくいっていない場合には、12級13号の後遺障害となることもありえます。

交通事故で橈骨・尺骨骨折の注意点

治療中から後遺障害の可能性を考えておく

橈骨・尺骨の骨折は、もちろん完治することもありますが、機能障害や変形障害、痛みといった神経障害といった各種の後遺障害が残ってしまうリスクがどうしてもあります。

したがって、治療中の段階から、後遺障害が残ってしまうリスクを考えておく必要があります。その上で、通院の仕方や主治医とのコミュニケーションをとって、症状固定時期をしっかりと見極めていかなければなりません。

可動域検査をきちんと受ける

橈骨・尺骨骨折は、骨端部は手関節、近位端の方は肘関節と、それぞれ関節を構成しています。したがって、骨折した場所によっては、関節の可動域に影響が生じます。

後遺障害診断書に可動域を記載してもらわなければ、機能障害を評価することはできなくなります。

したがって、症状固定の段階で、骨折した部位の可動域をきちんと測定してもらい、それを後遺障害診断書に記載してもらうようにしましょう。

こうした意味では、主治医の協力が不可欠です。治療の際の問診を通じて、信頼関係を構築しておくことが重要です。

また、後遺障害診断書は医師もそれほど多く書く書類ではないため、書き方に不慣れな先生もいらっしゃいます。被害者が自分で記載方法について話すのは難しいということもありますので、その場合には、専門家である弁護士に依頼してサポートを受けることが必要です。

 

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