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尺骨骨折により後遺症。後遺障害は認定される?【弁護士解説】


掲載日:2018年10月22日|最終更新日:2019年6月27日

尺骨骨折についての質問です。

交通事故にあって、病院に行ったところ、尺骨の骨折と診断されました。

この骨折は治癒が難しく、後遺症の残存が極めて高いと聞いて不安になっています。

仮に、治療をしても完治しなかった場合、後遺障害の等級に認定されますか?

 

尺骨骨折(しゃっこつこっせつ)は、前腕の骨が折れるけがです。

尺骨がある前腕の軟部組織は貧弱なため、遷延癒合、癒合不全を起こしやすく、後遺症として、①痛みの後遺症、②可動域制限、③変形障害という後遺症が残る可能性があります。

そのため、自賠責保険の後遺障害が認定される可能性が十分にあります。

交通事故にあって、尺骨骨折と診断されたら交通事故の専門の弁護士に早めにご相談されるのがよいでしょう。

 

 

尺骨骨折とは

上肢(上半身)のうち、肘から手首までを前腕といいます。この前腕には、橈骨(とうこつ)と尺骨(しゃっこつ)という2つの骨があります。

鳥の手羽先を食べると、2つの骨が上下の部分で繋がって、間に空間がある状態を確認することができると思いますが、人間の腕も2つの骨が肘関節と手関節を構成しており、この骨が橈骨と尺骨です。

そして、橈骨は親指側の骨、尺骨は小指側の骨です。

尺骨は肘のほうが太く、手首に向かうと細くなり、橈骨は肘のほうが細く手首に向かうと太くなります。

橈骨と尺骨はお互いを軸として、腕を体の内側、外側に回転させる運動に関係しています。

尺骨骨折は、このような動きを果たす小指側の腕の骨を骨折することをいいます。

交通事故では、転倒したときに前腕を地面に強打したときや地面に手をついたときの反動で腕をひねってしまった場合に尺骨骨折が起こる可能性があります。

したがって、バイクや自転車に乗っている状態で交通事故にあった場合や歩行者として歩いているときに車にひかれてしまった場合に尺骨骨折が起こりやすいといえます。

また、尺骨骨折は、親指側の腕の骨である橈骨と一緒に骨折をすることもあれば、尺骨だけを骨折するというケースもあります。

 

発生原因

事故橈骨・尺骨骨折の発生原因ですが、交通事故の際、転倒のとき前腕を地面に強打したときや、地面に手をついた時に腕をひねったときに橈骨・尺骨に骨折が生じます。

橈骨と尺骨が両方とも骨折するケースもありますし、どちらか一方の骨のみが骨折するというケースもあります。バイク事故や自転車事故の場合には、転倒のリスクが高いので、橈骨・尺骨の骨折が生じる可能性が高くなります。

 

症状

橈骨・尺骨の骨折の症状ですが、骨折部に腫れと痛みがでます。初期は特に内出血とともに腫れが強く出ることがあります。そして、橈骨と尺骨が前腕部に位置するため、前腕を回すと痛みが強くなります。

骨折した部分が手に近いと手首の動きの際にも痛みがでます。また、前腕の骨折による変形が見られることもあります。

さらに、合併症として、神経障害や前腕の血流が乏しいため癒合不全、阻血性拘縮が生じる可能性があります。

橈骨・尺骨骨折は治療が難しい傷病とされています。

それは、前腕は軟部組織が貧弱で、血流が悪く、遷延癒合や癒合不全を起こしやすかったり、橈骨・尺骨が解剖学的に正しい位置へ戻らないと、前腕を体の内外に回転させる運動に障害を残すなどの理由からです。

また、上記のような特徴から治癒や症状固定の日の見込みを立てるのが困難です。

 

後遺症

医師のイメージイラスト一口に尺骨骨折といっても、尺骨は肘から手首まで伸びている骨ですので、どの部分を骨折するかによって、その影響も変わってきます。

例えば、骨折した部分が手の方に近いと手首を動かす際に痛みがでる可能性が高いです。

また、肘と手首のちょうど真ん中あたりを骨折すると、骨の形が変形してしまうこともあります。

尺骨骨折で気をつけなければならないのが、合併症です。具体的には、神経障害や骨がうまくくっつかない癒合不全、阻血性拘縮が生じる可能性があります。

実は、尺骨骨折は治療が難しいけがといわれています。

それは、前腕は軟部組織が貧弱で、血流が悪く、遷延癒合や癒合不全を起こしやすかったり、骨折した尺骨が正しい位置に戻らないと、前腕を体の内側、外側に回転させる運動に障害を残したりするからです。

このように、尺骨骨折のけがをすると後遺症が残ってしまう可能性があります。

具体的には、①骨折した部分の痛みが取れないという痛みの後遺症、②手関節の動きが制限される可動域制限、③骨がうまくくっつかない(変形障害)という3つの後遺症が考えられます。

 

 

交通事故における尺骨骨折の後遺障害

交通事故で尺骨骨折のけがをした場合に治療を継続しても完治せず、上述のような後遺症が残ってしまったら、自賠責保険の後遺障害の申請を行い、後遺障害の認定を受けることを検討しなければなりません。

そこで、尺骨骨折の後遺障害について解説していきます。

痛みの後遺症

尺骨骨折のけがをして、一定期間治療をしたけれども骨折した部分の痛みが取れないということがあります。

この場合、自賠責保険は

  • 12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
  • 14級9号  局部に神経症状を残すもの

怪我をした女性のイラストという2つの後遺障害の基準を設けているため、後遺障害として認定される可能性があります。

 

可動域制限

尺骨骨折のけがをすると、折した部分が手首に近いと手関節の可動域に支障がでることがあります。

こうした可動域制限の後遺症について、自賠責保険では以下の後遺障害が認定される可能性があります。

  • 10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  • 12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

医者の解説イメージイラスト10級10号に該当するか、12級6号に該当するかは制限される可動域の程度によって変わってきます。

すなわち、骨折をしていない方の可動域に比べて、2分の1以下に制限されている場合には10級10号、2分の1以下までは制限されていないものの4分の3以下に制限されているものは12級6号に該当することになります。そして、4分の3以下までの制限がない場合には、可動域の後遺障害とは認定されません。

また、先ほど紹介した尺骨骨折の合併症である阻血性拘縮が発症してしまった場合には、骨折した先である手関節、手指がほとんど動かせないということが起こり得ます。

この場合、手関節の用廃として8級6号、手指の用廃として7級7号、または8級4号として、準用第6級に該当する可能性があります

 

変形障害

最後に、尺骨骨折によって、骨がうまくくっつかないという変形障害が生じることがありますが、こうした変形障害については、自賠責保険では以下の後遺障害が関係してきます。

  • 7級9号  1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  • 8級8号  1上肢の偽関節を残すもの
  • 12級8号  長官骨に変形を残すもの

具体的には、以下のとおりです。

橈骨・尺骨両方の骨の癒合不全が残存した場合
  • 常に硬性装具が必要なとき⇒ 7級9号
  • 硬性装具が不要なとき⇒ 8級8号尺骨だけに癒合不全が残存した場合
  • 時々硬性装具が必要なとき⇒ 8級8号
  • 硬性装具が不要なとき⇒ 12級8号
  • そのほか橈骨・尺骨両骨に15度以上の変形が残存した場合⇒ 12級8号
  • 尺骨の骨端部をほとんど欠損した場合⇒ 12級8号
  • 尺骨の直径が1/2以下に減少した場合⇒ 12級8号

 

 

交通事故で尺骨骨折の注意点

治療中から後遺障害の申請をする可能性を考えておく

尺骨骨折のけがはもちろん完治することもありますが、痛みの後遺症や可動域制限変形障害といった各種の後遺症が残ってしまうリスクがどうしてもあります。

したがって、治療中の段階から、後遺症が残ってしまうリスクを考えておく必要があります。

その上で、通院の仕方や主治医とのコミュニケーションをとって、症状固定時期をしっかりと見極めていかなければなりません。

 

可動域検査をきちんと受ける

尺骨骨折は、骨端部は手関節、近位端の方は肘関節と、それぞれ関節を構成しています。

したがって、骨折した場所によっては、関節の可動域に影響が生じます。

後遺障害診断書に可動域を記載してもらわなければ、後遺障害のうち、機能障害について評価して、認定してもらうことはできなくなります。

したがって、症状固定の段階で、骨折した部位の可動域をきちんと測定してもらい、それを後遺障害診断書に記載してもらうようにしましょう。

こうした意味では、主治医の協力が不可欠です。治療の際の問診を通じて、信頼関係を構築しておくことが重要です。

また、後遺障害診断書は医師もそれほど多く書く書類ではないため、書き方に不慣れな先生もいらっしゃいます。

被害者が自分で記載方法について話すのは難しいということもありますので、その場合には、専門家である弁護士に依頼してサポートを受けることが必要です。


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