よくある相談Q&A

保険会社から損益相殺すると言われました。損益相殺ってなんですか?


弁護士鈴木啓太イラスト事故を原因として何らかの利益を得た場合に、その得た利益が事故の損害の補填を目的とするものであることが明らかである場合は、その得た利益分を損害額から差し引くことを、損益相殺(そんえきそうさい)と言います。

したがって、事故に起因して既に保険金などを受け取っていた場合、その部分は損害賠償金から控除される可能性があります。

交通事故専門の弁護士が、損害賠償金から差し引かれる受取金と差し引かれない受取金の具体例を紹介します。

 

 

差し引かれる受取金

お金のイラスト 受領済の自賠責保険金

 受領済の政府保障事業のてん補金

 受領済の所得補償保険金

 健康保険法に基づく給付金

→これらの保険金や給付金は、給付を行った保険会社や公的機関が加害者に対して損害賠償請求権を代位取得することを理由として、損益相殺の対象とされています。

 遺族年金

→最高裁判所は、遺族年金について、支給が確定した遺族年金の限度額で、加害者に対して賠償を求め得る損害額からこれを控除すべきものである(最判H5.3.24)と判断しました。

この判例によると、将来支給を受けることが確定した各種社会保険給付額の限度で損益相殺がなされることになります。

損益相殺の対象となる年金や給付金には以下のようなものがあります。

解説する女性のイメージイラスト 地方公務員共済組合法に基づく遺族年金

 労働災害補償保険法に基づく障害年金

 厚生年金法に基づく障害厚生年金

 国民年金法に基づく障害基礎年金

 国家公務員共済組合法に基づく遺族共済年金

 介護保険法に基づく給付

 

 

差し引かれない受取金

 自損事故傷害保険金

同乗者のイラスト 搭乗者傷害保険金

搭乗者傷害保険について最高裁判所は、「保険会社が被保険者に保険金を支払った場合でも、第三者(加害者)へ損害賠償請求権を代位取得する定めがなく、被保険者が被った損害を填補する性質のものではない」として損益相殺を認めていません(最判H7.1.30)。

 生命保険金

生命保険の給付金は支払った保険料の対価であり、交通事故とは関係なく支払われるものであることから、損益相殺の対象となりません(最判S39.9.25)。

 傷害保険金

支払った保険料の対価として給付されるため損益相殺の対象となりません(京都地判S56.3.18)。

 労災保険上の特別支給金

第三者(加害者)へ損害賠償請求権を代位取得する定めがないため、以下の給付金については損益相殺の対象となりません。

①休業特別支給金

②障害特別支給金

③障害特別年金

④傷病特別年金

香典のイラスト⑤遺族特別年金

⑥遺族特別一時金

⑦遺族特別支給金

⑧就学等援護費

⑨福祉施設給付金

⑩労災援護給付金

 失業保険金

失業者の生活の安定を目的とする社会保険制度であり、損害の補てんを目的としていないため損益相殺の対象となりません(東京地判S47.8.28)。

 生活保護法による扶助費

 支給未確定の各種社会保険給付金

最高裁判所は、遺族年金について、いまだ支給を受けることが確定していない遺族年金の額についてまで限度額から控除することを要しないと判断し(最判H5.3.24)、支給未確定の各種社会保険給付金も同様に損益相殺の対象とならないとしています。

 損害賠償金に対する所得税

最高裁判決(S45.7.24)によって「損害額の算定時、税金額を差し引かない」とされました。
所得税法9条1項17号は、逸失利益、休業損害を非課税としています。

 

お金のイメージ画像以上のように、損益相殺の対象となるか否かの判断は複雑です。

保険会社から損益相殺を主張された場合は、専門家である弁護士に相談されることをお勧めします。

弁護士へのご相談はこちら「無料相談の流れ」からどうぞ。

 

 

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