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交通事故で作成される診断書とは?【弁護士が解説】


掲載日:2015年6月25日|最終更新日:2019年11月12日

弁護士西村裕一交通事故によってけがをした場合に作成される診断書には、いくつか種類があります。

交通事故にあったら、どのような書類が作成されているかどうかはしっかりと把握しておいたほうがよいでしょう。

交通事故と診断書

かぜで病院に行くような普段の通院の場合、わざわざ診断書を作ってもらったりすることはないでしょう。

しかしながら、交通事故でのけがの場合には、警察に提出したり、保険会社に治療費を支払ってもらうため、会社に休業理由を署名するために提出したりする目的で様々な診断書が作成されることになります。

 

 

警察に提出するもの

交通事故には大きく分けて、物の損傷にとどまる物損事故 と けがをした場合の人身事故に分けられます。

そして、警察の処理としては、被害者の診断書が警察署に提出された場合に、その事故を人身事故として取り扱うことになっています。

したがって、交通事故にあって、最初に受診した病院では、警察に提出するために診断書を作成することになります。

この診断書は、病院の所定用紙で作成され、被害者の氏名、年齢、住所とあわせて、怪我の診断名と全治が記載されます。

例えば、「頚椎捻挫」では、「加療1週間を要すと見込まれる。」といった記載がされます。

この警察に提出する診断書は、通常、被害者の方が病院に作成費用(一般的に5000円+消費税)を支払って、後日相手方の保険会社に請求を行って精算します。

ところで、警察用の診断書でよくある質問は、「診断書に「全治1週間」と書いてあるけど、実際にはもっと治療に時間がかかるけど大丈夫?」というものです。

結論をお伝えすると、保険会社との賠償実務では、ここで書かれている全治はそれほど大きく影響しません。

というのは、警察の中では、診断書に記載された被害者の全治までの期間を考慮して、刑事処分や免許書の点数減点を決めているという事情があり、骨折していないむちうちの事案で「全治1か月」と書かれると、処理に困ってしまいます。

そのため、診断書を作成する医師としても、骨折といった診断でない限り、全治は1週間か2週間程度で記載をします。

警察署に提出する診断書は必ずしも保険会社に提出する必要はありませんが、念の為、コピーを取っておくこといいでしょう。

 

 

保険会社に提出するもの

医者のイメージ画像交通事故でけがをした被害者の過失が小さい場合には、病院での通院にかかる治療費を相手方の保険会社が代わりに払ってくれることが通常です。

これを任意一括対応といいます。

交通事故以外で病院に通院すると、患者は費用を支払った際に領収証と治療の明細書を受け取ると思います。

しかし、相手方保険会社による任意一括対応中は、被害者は窓口でお金を支払いませんので、直接このような書類が交付されることはありません。

それでは、全く何も診断書が作成されていないかというとそうではありません。

病院では、原則として1か月ごとに、診断書、診療報酬明細書という書類を作成し、保険会社へ提出しているのです。

診断書・診療報酬明細書のサンプルは、こちらからダウンロードできます。

 

医者の解説イメージイラスト診断書には、具体的な病名や被害者が訴えている症状の内容やその推移、治療の内容や今後の見通しについて医師が記入する部分が設けられています。

主治医の先生は問診の結果をここに記入して、相手方保険会社に提出しているのです。

通院日数を記入する項目もあります。

また、診療報酬明細書には、治療費の算出のためにその月の治療の具体的内容と通院した日にちが具体的に記入されます。

処方せんを被害者に出した場合には、その旨も記載され、薬局からもどのような薬が処方されているかが明細書に記入されて、相手方保険会社へ提出されます。

したがって、保険会社に治療費を支払ってもらうということは、被害者の通院状況は保険会社が把握しているということを意味します。

このことをしっかりと認識しておく必要があります。

例えば、通院の回数が少なければ、保険会社としては、「そろそろ治療を終了しても問題なさそう」と考える可能性もあります。

また、被害者の知らないところで、主治医の先生が「症状固定に近い」、「症状は減退中」といった記載をされていることもあります。

この毎月の診断書と診療報酬明細書は、保険会社と治療期間の話合いをする際に重要な書類となるだけでなく、後遺症にも関係してきます。

具体的には、後遺障害の等級認定の判断に当たっては、書類審査が原則ですが、どのような書類を検討するかというと、後遺障害診断書だけでなく、交通事故から症状固定までの間に作成されるこの診断書と診療報酬明細書です。

そのため、診断書に被害者の方の症状を適切に記載してもらうことが大切で、主治医との日頃からの症状をきちんと細かく伝えておく必要があります。

作成手続

医者の解説イメージイラストこの診断書と診療報酬明細書を作成する場合には、必ず前もって、保険会社から病院宛の同意書にサインしてくださいと説明され、同意書が被害者の方へ届きます。

被害者の方は、この同意書をそもそも何のためにサインするのかわからずに記入していることも多いのですが、治療費の支払いや症状把握のために先ほどの2種類の書類を取得したり、医療照会をしたりするために同意書を求められているのです。

また、治療の打ち切りにあって、健康保険を使用して自費治療を行ったのちに、被害者側で自賠責保険へ被害者請求を行う場合には、被害者のほうで、この診断書と診療報酬明細書を作成してもらうよう医師にお願いすることになります。

このとき、病院によっては、「健康保険治療では自賠責保険用の診断書は作成できない」と断られるケースがありますので、自費治療を開始する時点で、作成してもらえるかどうかを確認しておくことが必要です。

 

 

会社に提出するもの

けがの影響で会社を休業する場合、休業が1日、2日とかではなく、一定期間に及ぶ場合、会社との関係で、けがの状態や就労が不能であるという医師の意見を記載してもらった診断書を作成することがあります。

この診断書は、警察の診断書と同じく、病院所定の用紙で作成してもらうことになります。

そして、費用については、被害者の自費になり、保険会社に請求することはできません。

なぜなら、交通事故の賠償上必ず必要な書類ではなく、会社との関係で被害者が用意することを求められている書類のため、被害者が費用負担すべきであるからです。

もっとも、保険会社と休業の必要性をめぐって争いになった場合では、こうした会社に提出する診断書を証拠として、休業の必要性を主張するということで使用する可能性もあります。

 

 

後遺症が残った場合に作成するもの

交通事故にあって、けがの治療を行ったものの、完治に至らず、後遺症が残った場合、自賠責保険の後遺障害の認定手続を行うことを検討します。

このときに必ず作成しなければならないものが、後遺障害診断書です。

この診断書では、症状固定の時点で被害者に残っている症状の内容や程度、検査の結果を記入することで作成します。

後遺障害の認定手続にあたって、とても重要な書類です。

後遺障害診断書について、詳しくはこちらをご覧ください。

 

 

まとめ

このように、交通事故で治療を行う場合には、通常の通院と異なり、様々な診断書が作成されることになります。

そして、特に保険会社に提出する診断書や症状固定の際に作成する後遺障害診断書は、被害者が適切な補償を受けるに当たって、非常に重要な書類となります。

そのため、交通事故を専門とする弁護士に相談するなどして、疑問点を解消したり、医師に作成してもらう前に気をつけておくべきことなどをチェックすることも必要になってきます。

後遺症が気になる方へのサポートについて、詳しくはこちらをご覧ください。

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