よくある相談Q&A

一括対応を拒否され、被害者請求をすることに。どうしたらいい?


被害者請求についての質問です。

加害者の任意保険会社から、任意保険での対応ができないので、被害者請求をしてくれと言われました。

どういうことでしょうか?

被害者請求について、弁護士が解説いたします。

けがをした被害者の方が事故の過失が大きいと考えられる場合などの、交通事故の事故態様に争いがある場合、任意保険会社の判断により、被害者の治療費などの立替払いをしないことがあります。

このような一括対応を拒否された場合には、人身傷害保険で対応するか、加害者の自賠責保険に被害者が直接支払いを請求しなければなりません。

自賠責保険に被害者の方が請求することを被害者請求と一般的に呼んでいます。

 

保険会社による示談代行(一括対応)とは

交通事故の損害賠償について、今では当たり前になっている、保険会社が加害者に代わって示談交渉を行う、示談代行を行うようになったのは、家庭用自動車保険が発売された昭和49年3月からです。

この保険が発売されるまでは、加害者は被害者と直接交渉を行い、自分のお金で賠償金を被害者に支払った上で、自賠責保険に支払の報告をした後に、自賠責保険を超過した金額を任意保険会社に請求するといった流れでした。

任意保険会社はこの請求をもとに、支払が可能な保険金を支払っていました。

この頃は、当事者で直接交渉を行うため、被害者に対して支払われる金額にバラツキが生じ、不公平な損害賠償が行われて問題視されていました。

その後、被害者に公平な損害賠償を履行するために、昭和48年1月に「一括払い制度」が導入されました。

一括払いとは、加害者の自動車保険会社が被害者の治療費などをその都度、直接病院に支払うなどして対応することです。

加害者の自動車の自賠責保険の枠についても任意保険会社が立替払いを行います。

最終的に損害額が確定して示談交渉等で損害金額が確定した後に、任意保険会社は加害者の自賠責保険に請求を行います。

このような一括払いにより、被害者はもちろん、加害者自身も自分のお金を出して、病院の治療費などを負担せずにすむようになり、保険会社間で自賠責保険の処理も行えるようになりました。

こうした一括払い制度の導入により、保険会社が加害者に代わって示談代行を行うというサービスが可能となりました。

経緯からもわかるとおり、交通事故の治療費などは全て保険会社が払わなければならないというわけではありません。

一括払い制度はあくまで保険会社が始めたサービスにすぎず、法律で定められているわけではありません。

交通事故にあっても、相手方の保険会社が対応してくれないということはありうるのです。このことをしっかり理解しておく必要があります。

 

 

任意保険会社が一括払いをしない主なもの

任意保険会社が一括払いによる対応をしない場合としては、以下のようなものがあります。

加害者側(被保険者)が保険会社による示談代行に同意しない場合

保険会社は、被保険者が示談代行を行う事に同意する場合には、被保険者に委任状(示談代行を保険会社に任せることの意思表示)を保険会社に提出します。
被保険者が任意保険会社に委任状を提出しない場合は、任意保険会社は、示談代行ができません。
例えば、加害者が私は悪くないと考えている場合や、等級が下がるので保険を使用したくないといった場合が考えられます。

明らかに契約している保険金額を超過する事故

現在は、対人賠償の保険金額(保証できる枠の金額)が無制限となっている場合が主であり、保険金額を超過する例は稀ですが、事業用車両の対人保険については、無制限でなく一定金額を上限としている契約の場合があります。

自賠責保険無保険車の場合

加害者車両に自賠責保険の加入がない場合、保険会社が示談交渉をおこなっても、自賠責保険相当額につき、加害者が支払うことが確定的でないために、被害者に対しての未加入の自賠責部分についての補償金額の支払を任意保険会社として確約できないためです。

無責事故・免責事故・自賠責内事故の場合

加害者に全く責任がない事故の場合(Aさんが中央線の有る道路を走行中に、Bさんが居眠り運転をして、センターオーバーをしたことでAさんの車とぶつかり、Bさんが負傷した場合等)があります。
また、任意保険会社と被保険者との間の関係で、保険が使用できない場合にも一括対応はしません。
例えば、任意保険の契約に運転者の年齢が21歳以上の場合のみに使用できる条件あり、18歳の者が運転者した場合は免責事故(保険会社は支払責任を負わない)となります。
最後の自賠責保険の限度額内の事故とは、被害者の過失が大きい場合等があります。
例えば、信号機のある横断歩道を、歩行者が赤信号で横断し、加害車両は、青信号で進行した場合、歩行者の過失相殺率の基本は80%となっています。
この場合、加害者の負う責任額は、傷害部分(ケガの治療費等)の総損害金額が480万円以上にならなければ、任意保険金の支払は発生しません。
すなわち、自賠責保険の限度額が96万円ですので、これを超えるためには、96万円 ÷ 0.2 = 480万円以上の損害に上る必要があります。
そのため、保険会社としては、対人保険により自ら支払をする可能性が低いため、一括対応をしないということになります。

事故との因果関係が問題となる場合

整骨院や心療内科での治療、事故後通院期間が空いてしまった場合の再度の治療費などは、加害者に賠償義務がそもそもあるのかどうかが争点になることが多く、保険会社としても一括対応により支払を拒否するケースがあります。

任意保険会社が一括払いをしない場合の被害者対応

相談任意保険会社は、事故状況・事故原因・因果関係・受傷の状況等の調査の結果を総合的に勘案し、任意保険会社が対応できない場合には、被害者に対して親切・丁寧な説明と対応を行うこととなっています。

さらに、任意保険会社は、被害者が自賠責保険に直接請求する方法等、自賠責保険への請求を行うことを説明する必要があります。

 

 

被害者請求とは

任意保険会社が対応しない場合には、人身傷害保険を使用するという方法と加害者の自賠責保険に直接請求することが可能です。

自賠責保険は加害者が契約している保険です。

通常の保険金は、保険加入者側の請求にもとづき、加害者側に対して保険金を支払います。

もっとも、自賠責保険は、加害者側の保険であるにもかかわらず、被害者である他人が請求することができます。

これは、被害者を救済することを目的として、
自賠法16条に「——保有者の損害賠償の責任が発生したときは、政令で定めるところにより、保険会社に対し、保険金の限度において、損害賠償額の支払をなすことができる。」となっています。

ただし、自賠責保険は限度額が定まっています。

傷害であれば、限度額は120万円(減額がある場合の限度額は96万円)であるために、治療費・休業損害について、公的保険(健康保険・労災保険)が使用できるのであれば、これを使用しながら、自賠責保険の限度額を最大限活用することが必要となります。

このような場合は、専門家である弁護士に相談した上で公的保険の手続を行う必要があります。

例えば、労災事故(通勤災害も含みます。)については、労働基準監督署は、基本的に自賠責保険を優先であると指導をします。

ただし、被害者の責任割合が大きく、加害者側の任意保険が対応しない等の場合は、「申立書」(労災先行)にて、理由を明らかにして監督署の了承を得た上で、治療費・休業損害を労災保険より先行して支払を受けることができます。

また、労災保険が適用できない場合、健康保険については、病院に健康保険を提示すれば利用可能です。

保険者(協会けんぽ・組合健保・国保等)には、第三者行為届を提出する必要があります。

ただし、実務上、病院によっては、健康保険を使用した場合には、自賠責保険請求に際して必要となる「診断書・診療報酬明細書(自賠責保険請求書式)」を記載してくれないことがありますので、この際にどのような対応が必要かを専門家である弁護士に相談することが必要となります。

このように、任意保険会社が対応しない場合は、自賠責保険とともに公的保険と併用しながら請求することが必要です。

被害者請求に必要な書類

被害者請求に当たって、必要となる書類は下図のとおりです。

図 被害者請求で必要な主な書類

必要書類 取得方法
保険金請求書類 被害者が作成
交通事故証明書 自動車安全運転センターから取得
事故状況発生報告書 被害者が作成
診断書、診療報酬明細書 受診した医療機関すべてから取得
調剤明細書 薬局で薬を処方してもらった場合
施術証明書 整骨院受診がある場合
休業損害証明書 勤務先で作成してもらう
保険金請求書類 被害者が作成
交通事故証明書 自動車安全運転センターから取得
事故状況発生報告書 被害者が作成
診断書、診療報酬明細書 受診した医療機関すべてから取得
調剤明細書 薬局で薬を処方してもらった場合

ここからもわかるとおり、被害者請求を被害者が行うのは書類の収集に非常に労力を要することになります。

したがって、普段から被害者請求を業務としている交通事故専門の弁護士に依頼して、手続を進めるべきでしょう。

弁護士費用特約に加入されている方はもちろん、加入されていない方もサポートプランをご用意しておりますので、交通事故でお困りの方は、まずは北九州の弁護士にご相談ください。

サポートプランについて詳しくは、こちらをご覧ください。

 

 


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